地方銀行のカードローンのデメリット ~審査が厳しい・低収入だと借りにくい~
地方銀行のカードローンでお金を借りるデメリットは、下の通りです。
- 在住・在勤エリアが制限されている
- 大手より審査が厳しい
- 特に若年層・家庭に入っている女性が借りにくい
- 最短即日借入もしにくい
以下、詳しくまとめていきます。
在住・在勤エリアが制限されている
地方銀行のカードローンのデメリット…、と聞いて誰もが真っ先に連想するのが、この点でしょう。在住・在勤エリアが制限されているからこそ「地方銀行」なのですが、やはりこれが大手との一番の違いです。
デメリットを通り越してそもそも「最初から利用できない」のだから、デメリットとは言わないかも知れません。ただ、何かしらその地方銀行にしかないサービスを見つけても、その地方銀行の対象エリアでなかったら、それは利用できない…ということなのです。
ということで、これは一応デメリットと言うべきでしょう。もっとも、下のようにも言えます。
- 基本的に、それほど特殊なサービスを提供している地方銀行はないし、大手の銀行カードローンのサービスの方が優れていることが多いので、それほど気にすることはない
このようにも言えます。
大手銀行より、審査が厳しい
全体的に、地方銀行のカードローンの方が、大手銀行のカードローンよりも審査が厳しい傾向があります。理由は下の通りです。
- 資本力が小さいので、貸し倒れのダメージが高い
- ↑(つまり、貸し倒れを大手以上に出せないので、審査を厳しくする必要がある)
こういう「資金力」に関する話が一つ。
- 地方銀行は、その地域での口コミ・評判が命である
- つまり、返済の延滞・滞納があっても、厳しい督促や取り立てができない
- つまり、そもそも催促が必要になるような人に融資してはいけない
- 結果、審査が厳しくなる
こういうことです。
- 資金力
- 地域の評判
この2つの点から、地方銀行のカードローンは、大抵の場合大手より審査が厳しくなる…というわけです。
若年層・家庭に入っている女性が借りにくい
特に地方銀行のカードローンで審査が厳しくなるのは、学生、もしくは収入のない既婚者の女性です。理由は上に書いた「地域の評判」の部分と同じです。
少しでも「遅延・延滞のリスクがある人」には貸し付けできないということなので、そのリスクがある若年層・家庭に入っている女性に対しては、どうしても融資しにくくなります。ということです。
また、そもそも学生は大手の銀行カードローンでも借りにくくなっています。理由は下の通りです。
最短即日借入もしにくい
また、若年層・家庭に入っている女性だけではなく、そもそも会社員・OL・公務員、あるいはアルバイト・パート・フリーターなどの人々が申し込んでも、最短即日借入がしにくくなっています。理由は下の通りです。
- 最短即日審査の受付時間が短い
- 審査時間が長い
- 土曜日・日曜日のキャッシングに対応していない
こういう三点だ。他にもあるが、主にこれらの理由です。
最短即日審査の受付時間が短い
これは大手の銀行カードローンでもバラつきがあるのですが、たとえば大手の銀行カードローンで最長の所だと下のように言えます。
- 新生銀行カードローン レイク
- 三井住友銀行カードローン
この2つの銀行カードローンが毎日21時までという締切時間で、最短即日審査を受け付けている。これはSMBCモビット・アイフル・ノーローンなどの消費者金融と同じ時間です。
しかも、新生銀行カードローン レイクにいたっては―。
しずぎんカードローン・セレカの審査時間は早いが…
例外なのは、しずぎんカードローン・セレカです。最短30分という審査の所要時間は、三菱UFJ銀行・三井住友銀行などと並んで、銀行カードローンで最速です。新生銀行カードローン レイクとも互角です。
ただ、この「一番最短即日融資がしやすい」静岡銀行でも、やはり不利な点があります。それは土曜日・日曜日のキャッシングに対応していない、ということです。
これはしずぎんカードローンだけではなく、地方銀行のカードローンはみんなそうです。地方銀行で最大手の一つ、横浜銀行カードローンでも、やはり対応していない。地方銀行のカードローンに、わざわざ土曜日・日曜日・祝日に最短即日審査を申し込んでくるような人はいないので、これでいいのだ(バカボンの父親ではないが)。
なので、「土曜日・日曜日・祝日だけど、お金を借りたい!」という人にとっては、地方銀行は使えない。ほとんど土曜日・日曜日・祝日はしっかり休んでいる、安息日を守る人々だからです(もちろん、それでいいのです。休日に融資するのは、大手の銀行カードローンか消費者金融の仕事です)
ということで、これは別にデメリットというほどではないのですが、下のように言えます。
- 土曜日・日曜日・祝日にお金が必要な人で、しかもなぜか「地方銀行で借りたい」という人がいたら、その人にとってはピンポイントでデメリット
こういうことになります。珍しいピンポイントですが。
ちなみに、地方銀行をメインバンクとしている人は、大抵堅実なタイプなので、土曜日・日曜日・祝日にお金が必要になるようなことは、自営業・個人事業主でない限りは、ないと思われる。(個人事業主・自営業、あるいは会社代表者・法人経営者など、事業をしているとどうしてもつなぎ融資が必要になることはある、という意味だ)
地方銀行は、審査時間が長い
先ほどしずぎんカードローン・セレカの「最短30分」という審査時間を書きましたが、これは例外中の例外です。地方銀行なのに大手より早いというのは、例外という他ありません。基本的に、地方銀行のカードローンの審査スピードは、全部大手より遅い。これはシステムが大手ほど自動化されていないというのもありますが、そもそも急ぎでお金が必要な人に対して、それほど融資するつもりがないということもある…と想像できる。
これは別に利用者にいじわるしているわけではありません。逆です。全体の利用者に利益をもたらすために、あえてスピードを重視していないのです。箇条書きすると下のようになります。
- 「急ぎでお金が必要」という人は、「急ぎでない」人に比較すると、明らかに貸し倒れのリスクが高い
- つまり、審査スピードを早くしないことで、そういう人が申し込んで来るのを「最初からブロック」することができる
- 結果、申し込みも減って、審査コストも減る
- 「まともな人たち」の審査スピードも上がる
実はキャッシングというサービスは、申込者が多ければ多いほどいい…というわけではないのです。
こういう状態が理想なのです。そして「できるだけ、クレジットスコアが高い人だけが申し込んできてくれる」という状態をつくるために―。
- 審査スピードを早めるのをやめる
- 審査基準を厳しくする
などの方法を、金融機関はとるわけです。(特にろうきんカードローンなどではこれが顕著に見られる。勤続1年で、年収が150万円という条件だ。この時点で、相当審査コストを削減できることがわかる)
という風に地方銀行の審査スピードが大手より遅いのは、「実力がない」のではなく「わざと」そうしている部分もあります。いじわるではなく「一定の信用度がある、利用者のため」だ。彼らにより低金利で、より利用手数料のかからないサービスを提供するためには、こういう「申込者の選別」が必要なのです。
経済学の世界では、常識である
この手法は、経済学の世界では常識となりつつあります。たとえば『ヤバい経済学』というベストセラーを出した二人の学者は「テロリストをあぶり出す」ためにこんな罠をしかけた。箇条書きすると下のようになります。
- そのベストセラーの中で
- 「テロリストのあぶり出し方」を書いた
- その内容は、下の通りである
- テロリストは、銀行の提供する生命保険に入らない
- 理由は、銀行の生命保険は自殺に対しては保険金が出ないため
- なので、テロリストの容疑者のリストから、銀行の生命保険に入っている人は外す
こういう「手法」を、その著者が明かしたわけです。そして、各国のメディアから批判を浴びた。「どうして、テロリストに手の内を明かすのか」と。
しかし、この話の流れで見るとわかると思うがこの後で、銀行の生命保険に入る人間こそが、テロリストの可能性が大なのです。もちろん、絶対ではない。しかし、「かなり確率が高い」グループを一つ抽出できるのは確かだ。(ここでは詳しく書けかなったが、銀行の生命保険というのは、外国で「全然メリットのないサービス」の一つだからです。いわゆる誰得というやつだ)
なので、このベストセラーが出た後で、「わざわざ銀行の生命保険に入る」というような人間は、「通常よりも、テロリストの可能性が高い」と、ざっくり絞れるわけです。
このように、この「絞込」の技術は、政治や経済・経営の世界でも、当たり前のように使われている。そもそも子どもたちが遊びで集まる時だって明日は野球やるから、グローブ持って集合ねという風に「グローブを持っている子供=最低限野球ができる、野球をやる意識がある」という絞込をしているわけです。人間関係で「絞込」をしないことなんてないのです。なので、絞込=差別という発想は間違っている。
(こんなこと書くまでもないのですが、ツイッターが流行ってから、やたら相手の発言の揚げ足をとるような議論が目立つ気がする。だからこういうことまでいちいち補足しておいた方がいいのだろう)
ということで、繰り返すが―。
- 地方銀行のカードローンのデメリットは「審査時間が長い」ことである
- ただ、これは利用者に対する配慮がないとか、意地悪なのではなく、むしろ逆で「一定の信用度がある利用者全体への配慮」ということができる
こういうわけです。こういう「足切り」があるおかげで、それより上のラインの人たちは、低金利で、そのカードローンを利用できる…ということです。
そういう意味では、これは地方銀行のカードローンのデメリットであると同時にメリットでもあるのですが。基本的にメリット・デメリットはすべて一体のものと思った方がいい。
土曜日・日曜日のキャッシングに対応していない
これも、最短即日借入がしにくいというポイントの一つです。地方銀行のカードローンは、最大手の横浜銀行・静岡銀行でも、土曜日・日曜日・祝日の融資に対応していない。その他の小規模な地方銀行のカードローンも、土曜日・日曜日のキャッシングではほぼ全滅です。
ただ、これも想像がつくと思うが―。
- 土曜日・日曜日・祝日にお金が必要という人は、貸し倒れのリスクが高いので、あえて土曜日・日曜日の審査に対応しないことで、全体の貸し倒れコストを下げ、利息も下げることができる
貸し倒れが発生したら、その損失は利息収入で補う…というのが、金融の世界の常識です。なので、審査が甘いということは、下のように言えます。
つまり、実は審査がゆるい借り入れ先で借りるというのは、全然得ではないのです。損をするだけなのです。もちろん、すぐに完済して解約するならいいのですが、長期間使って利息を払い続けていると、間違いなく損をする。
聖書の「狭き門より入れ。滅びに至る道は、広く大きい」ではないが、「楽なもの」というのは、結局あまりいいものではない。あまりというより、ほぼ確実にいいものではない。いいものでないから楽なのです。
(ただ、苦しければいいわけでもない。この辺の違いはものを考える大人だったら、ある程度わかるだろう)
地方銀行で土曜日・日曜日・祝日の融資をしても、コストが回収できない
上の貸し倒れコスト・リスク以外の理由として、地方銀行のカードローンで土曜日・日曜日・祝日の融資をしても、そのコストに見合った利益がない…という点が挙げられる。
- 土曜日・日曜日の審査をする時点で、スタッフを確保したり、自動審査のシステムを整えたりと、一定のコストが必ずかかる
- ↑(申し込みがあってもなくても)
- しかし、地方銀行のカードローンはもともと、利用者の母体数自体が少ないので、土曜日・日曜日の審査を開始しても、申し込みがあまり来ない
- そのため、コストがかかる割に、利益がでない
こういうことになります。地方銀行だって株式会社なので、利益は重要だ。そして、株式会社などの私企業は、基本的に利益になることならやるのです。
それが「やらない」ということは、地方銀行のカードローンにとって、土曜日・日曜日・祝日の最短即日融資は、利益が出ないからやらないということなのです。
(ちなみに、こう書くと「利益のことしか考えていないのか」という反応をする方がいるだろう。しかし、経済というのはそれでうまく回るのです。アダム・スミスのいう「神の見えざる手」です。ちなみに、「全員が利益を度外視する」という社会を実現して失敗したのが、旧ソ連や中国です。日本人のほぼすべてが「彼らは間違っていた」と言うはずだが、実はしている反応は、根底では彼らと共通している…ということに気づいた方がいいだろう)
何はともあれ、こういう理由によっても、地方銀行のカードローンは土曜日・日曜日・祝日の融資に対応できない。なので、休日にキャッシングしたいという人は、大手の銀行カードローンか、あるいは消費者金融で借りることになります。(大手の銀行カードローンも土曜日・日曜日・祝日は借りにくいので、基本的に消費者金融で借りた方がいいが…。
地方銀行のカードローンのデメリット・まとめ
以上、地方銀行のカードローンのデメリット・短所について書いてきた。最後に要点を整理すると、下のようになります。
- 最短即日借入がしにくい
- 在住・在勤エリアが限られている
- 学生や家庭に入っている女性(自分の安定収入があることが条件)が借り入れしにくい
- 土曜日・日曜日・祝日の融資ができない(ことが多い)
要するに「全体的に借りにくい」ということです。代わりに―。
- 日頃メインバンクにしていて、付き合いが長い人は、大手の銀行カードローンよりも審査に通りやすくなる(こともある)
- 会社経営者や個人事業主の方々は、その地方銀行との関係を強めるために、あえて地方銀行を選んだ方がいいこともある
というメリットもあります。これらのメリット・デメリットを天秤にかけて、地方銀行でキャッシングするかどうかを考えてほしい。