JICC(日本信用情報機構)&CIC(シーアイシー)とは?|キャッシングの用語
キャッシング審査では債務整理・代位弁済などの「事故情報・異動情報」が記録されていると、借り入れが基本的にできません。そうした「個人信用情報」を管理する組織である、JICC・CICの解説を中心に、キャッシングの用語をいくつか説明します。
「JICC」(日本信用情報機構)とは
JICCとは、指定個人信用情報機関の一つです。主に消費者金融が多く加入しています。箇条書きしていくと、下の通りです。
- アコム・プロミス・アイフル・SMBCモビットなどが加入
- その他の大手消費者金融や中小業者も大体加入
このようになっています。これが「参加企業・ブランド」についてで、参加する会社のジャンルについては下の通りです。
- 信販会社
- 流通系クレジット会社
- 銀行系クレジット会社
- メーカー系クレジット会社
- リース会社
- 保証会社
などとなっています。要するに「ほとんどのジャンルの、借り入れに関する企業が、JICCに参加している」と考えて下さい。
携帯通信会社も、JICCに加入している
いわゆる三大キャリアと言われる、携帯通信会社も個人信用情報機関に参加していますが―。
- NTTドコモ
- ソフトバンク
これらは参加しているものの、au(KDDI)だけは、なぜかCIC(シーアイシー)には加入しているものの、JICC(日本信用情報機構)には加入していないという状態になっています。
ということは、例えばau(KDDI)の携帯電話の本体の分割払いなどで延滞・滞納をした時も、それは他のキャッシング業者や銀行カードローンでは、共有されないかも知れない…という考えになりそうですが…。
しかし、CIC経由でおそらく共有される
ここで注意すべき点は、au(KDDI)もCIC(シーアイシー)には参加している、ということ。
- au(KDDI)での遅延が、CICに共有される
- CICで共有された事故情報・異動情報が、CRINを通じて、JICCやKSCにも共有される
このようになるわけですね。以前はこの「CRIN」という相互の個人信用情報の交換ネットワークがなかったので、上に書いたような「加入していない企業での延滞・滞納は、知られずに済む」(済むというのも変ですが)という状態だったのです。
しかし、それはCRINが導入される平成21年よりも前のこと。大体2009年よりも前ということですね。(CRINがいつから導入されたかは、CRIN協議会がルールを策定したPDFを見ればわかります。↓)
http://www.jicc.co.jp/vcms_lf/09525CRINhogohoushin.pdf
ということで、下のように言えます。
- JICCには大部分のキャッシング業者やクレジット会社が加入している
- au(KDDI)など、一部加入していない大手もあるが、そうした企業でもCIC(シーアイシー)には加入しているので、結局、それらの企業でブラックリストに入ったら、バレる
といえます。つまり、「自分の借入・返済の履歴は、完全に筒抜けになっている」と思ってください。
(これは逆に、クレジットヒストリーを改善するクレヒス修行の効果が出やすい…ということも意味します。つまりメリットもあるわけです。共有が進むと)
「CIC」(シーアイシー)とは
CIC(シーアイシー)は、クレジット会社を中心に、多くの銀行カードローン・消費者金融などが参加する、個人信用情報機関です。つまり、JICCと大体同じです。正式な定義がCIC(シーアイシー)の公式サイトでされているので、それを要約すると、下のようになります。
- クレジット会社の共同出資によって、1984年に設立された
- 分割払いやクレジットカード関連の業者・銀行を中心としている
- 貸金業法と割賦販売法の両方によって指定された個人信用情報機関で、この条件では、個人信用情報機関の中でも、唯一のもの
このようになるわけです。
- JICC(日本信用情報機構)も「指定信用情報機関」だが、JICCは「貸金業法」によってしか、指定されていない
- しかし、CIC(シーアイシー)は、貸金業法だけではなく「割賦販売法」によっても指定されている
そのため、先に書いた通りau(KDDI)のようにCIC(シーアイシー)には加入しているけど、JICC(日本信用情報機構)には加入していないという企業も途上するわけですね。これは別にJICCがCICに比べて劣るということではないのですが、共有するジャンルの広さとしては、CICの方がやや広め…と考えていいでしょう。
「法人経営者」の借り入れ
法人経営者や会社代表者という職業・属性でも、当然キャッシングはできます。ただ、個人事業主・自営業ほどではないにしても、「審査が若干厳しくなる」というのは確かです。ポイントをまとめると、下のようになります。
- 法人化している分、自営業・個人事業主よりは信用される
- しかし、会社員・OL・公務員よりは劣る
「平社員のサラリーマンより下なのか」と思われるかも知れませんが、安定性命のキャッシングの世界では、法人経営者よりも会社員・OL・公務員やパート・アルバイト・フリーターの方が安定しているので、むしろ彼らの方が審査に通りやすいですね。
その法人の規模や、これまでの実績にも、もちろんよります。しかし「ほとんど実績のない企業」だったら、「アルバイト・パート・フリーターの方が、信用されるというくらいなのです。
そのくらい、キャッシングの世界でもその他のジャンルでも、「独立系の職業の方々が社会の信用を得るのは、難しい」わけですね。もちろん、だからこそ挑戦する人が少なく、そのビジネスが成功した時に、大きな利益が得られる…
というわけですが。
「改正貸金業法」とは
改正貸金業法とは、簡単に書くとキャッシングのルールを厳しくしたもの。
- 借りにくく
- 貸しにくく
したものです。と書くと「悪いこと」のようですが、善悪両方の面がありました。具体的にどう厳しくなったのかというと、以下のルールが決められました。
- 貸金業法第13条の2第2項の規定…借入金額は「年収の3分の1まで」
- 配偶者の同意書…専業主婦(夫)の借り入れは、配偶者の同意が必要
- 年収証明…一定金額以上の借り入れでは、収入証明書が必要
- 個人事業主への融資…確定申告書など、決算書の提出が必要
- 個人信用情報…各機関への登録が必要
- 金利引き下げ…法定金利の上限を「実質年率20%」に
こういうものです。キーワードだけ抜き出すと、下のようになります。
- 貸金業法第13条の2第2項の規定
- 配偶者の同意書
- 年収証明
- 個人事業主
- 個人信用情報
- 金利引き下げ
最後の「金利引き下げ」以外は、すべて借り手・貸し手双方にとって厳しくなっているというのがわかるでしょう。(金利引き下げにしても、それによって実は「借りにくく」なるのですが、パット見でも、それ以外の5項目は、すべて「借りにくく」なっている、ということですね)
以下、このそれぞれの改正貸金業法のポイントを解説していきます。
「貸金業法第13条の2第2項の規定」…年収の3分の1までしか借りられない
貸金業法第13条の2第2項の規定は、「貸付金額は、その利用者の年収の3分の1までに抑える」というルールです。
- 融資する側を規制するルールであって、借りる側を規制するものではない
もちろん、借り過ぎは良くないのでそれで良いのですが、とりあえず借り手からしたら「年収の3分の1以上借りられない」というルールに変更されたわけです。
金額の問題でなく「借りられない」人が増えた
貸金業法第13条の2第2項の規定によって起きた混乱では、「金額」の問題もあったのですが、そもそも、借入不可になるという人が増えた点も指摘できます。
- 「3分の1」の部分ではなく、「年収」の部分が問題になった
具体的には「収入のない既婚者の女性」などの方ですが、これらの方は、3分の1以前に、そもそもキャッシング不可になったということなのです。
そして、それは金融庁も事前に予測できたので、家庭に入っている既婚女性の方々に関しては別のルールを用意しました。それが「配偶者貸付」という「貸金業法第13条の2第2項の規定の例外」と呼ばれるものです。
配偶者貸付…婚姻相手の同意があれば、借入可能
これが改正貸金業法の2つ目の変更点ですが―。
- 収入のない既婚者の女性(夫)でも、借入可能とする
- ただし、夫・旦那(奥さん)の年収によって借りるわけだから、その婚姻相手(配偶者)の同意を必要とする
こういうルールになったわけです。一見、これなら借りられるようですが―。
- 実際には、自分の借金を夫・旦那や奥さんに話せる人間はいない
- というより、夫婦でなくても家族間でキャッシングの話はタブーになっている
- つまり、夫バレ・旦那バレや嫁バレ・妻バレ、家族バレするという時点で、実質「借入不可」に近い
こういうわけです。ここが難しい所で「じゃあ、借りなければいい」といったら、確かにそうなのです。私も学生時代から家族に内緒で借金をしていましたが、やはり家族に内緒のキャッシングというのは、基本的にするものではありません。
しかし、それまで借り入れできるのが当たり前だと思っていた人たちは、それが突如できなくなると、当然困るわけです。「完全施行までの期間を4年間あけた」としても―。
- キャッシング業者からしたら、完全施行の前から適応しないといけないので、アコムなどは早々に、改正貸金業法の基準に合わせた
- 中小業者も多かれ少なかれ、改正と同時に審査基準を厳しくした
こういうのが現実です。そして、そうして「急激に状況が変わって」しまったため、適応できずに(そして、どこからも借りられずに)ヤミ金やクレジットカードの現金化業者に流れた…という人々が、家庭に入っている女性も含めて、この時期かなりいたんですね。
何が正しいのか、難しい問題である
ただ、これは結構難しい問題で―。
- そもそも「改正が急だった」とか言う前に、お金を借りないと生活できない状態だったのが、問題なんじゃない?
こういう指摘はあるでしょう。これは確かに一理あるわけです。世のほとんどの人は、借金なしでやっているわけですからね。
ただ、人間にはいろいろな人生があって、下のようになります。
- 子供の頃、まともな家庭で、しっかり読み聞かせもしてもらった人と、栄養もろくに与えられず、本も読んでもらえなかったような人
このような両者では、その後の人生に劇的(というより悲劇的)な差がつくわけです。こういうことを言い出すときりがないのですが、社会は、どこまで弱者を切り捨てていいのかという問題に行き着くわけです。
改正貸金業法は、間違いなく「一定レベル以下の弱者には、配慮しない」法律だったわけです。
- 「ある程度の弱者」までは配慮するけど、「それ以上の弱者」には配慮しない
こういう改正だったんですね。具体的には―。
- まだ「年収の3分の1まで」余裕がある人なら助かるけど、そうでないような「さらに借金が多い人」にとっては苦しい
こういう法律だったのです。これは、貸金業法改正の当事者だった増原義剛氏の著書『「弱者」はなぜ救われないのか』というタイトルの通りです。当事者から見ても「弱者が救われない法律」だったわけです。
ただ、じゃあ当時のキャッシング業界の状況を野放しにしておいて良かったかというと、そうでもなく特にジャーナリストの盗聴など、完全な刑事事件を起こしていた武富士などは、やはり規制の必要があったわけです。「もう少し、別の規制があったのでは?」という指摘ももちろんその通りなのですが、下のように言えます。
- そもそも、社会や経済の動向というのは、ノーベル賞経済学者でも、「ありえないくらい外す」ことがある
- だから、政府でどれだけ「予測」を立てても、限界がある
こういうことなのです。この「政治経済の予測の限界」をハッキリと示したのが、ノーベル経済学賞の受賞学者、ポール・クルーグマンです。
ポール・クルーグマンの、世紀の「予想ミス」
箇条書きすると下のようになります。
- クルーグマンは、1998年に有名な論文を発表した
- 「なぜ経済学者は予測を外すのか」というタイトルである
- そして、この発表をした上で、彼は一つの予測をした
そして、どんな予測かというと、下の通りです。
- インターネットは、2003年までに、急激に規模が「縮小」するだろう
- ↑(つまり、今後5年間で衰退するとした)
- 2003年には、その影響力は「ファックス以下」になっているだろう
フタを開けて見れば、1999年にGoogleが登場し、その後、アップルやAmazon、Facebookなどが登場し、インターネットの登場は、世界史を変える「産業革命に匹敵する大事件」になったわけです。
この予想が「世紀の失敗」であるのは―。
- 「ネット」の未来予測を外したこともさることながら、その予測の直前に、クルーグマンが
- 「なぜ経済学者は予測を外すのか」を発表していた
つまり「誰より、経済学者は間違う」ということを「知っていたはず」のクルーグマンが、この上ないくらいの予想ミスをした…ということなんですね。まさに「体を張ったギャグ」に近いことを、ノーベル経済学賞の受賞学者が、披露してしまったわけです。
これは別にクルーグマンが無能というわけではなく政治経済の予測をするのは、それだけ難しいこと(というより、ほぼ不可能)ということなんですね。
ちなみに、現代物理学の父と呼ばれる「ニールス・ボーア」も、予測の難しさに関して、下のような名言を残しています。
「予測は難しい。特に未来に関するものは」
「予測」である以上「未来の予測」に決まっているのですが、これはもちろん「知的なジョーク」です。つまり「人間が、未来を予測することなどできない」と、「現代物理学の父」が言っていたわけですね。
(余談ですが、ボーアもノーベル賞学者ですし、ボーアの息子もやはり、ノーベル賞学者という「親子で受賞した」恐ろしい家族です。笑)