配偶者貸付とは?夫婦の合計年収の3分の1まで融資可能というルール
配偶者貸付とは、夫婦の年収を合算して、その3分の1まで融資できるというルールです。「貸付」という言葉を見てもわかる通り「貸す側」のルールであり、「借りる側」のルールではありません。
- この金額まで「貸していい」ということであり、この金額まで「借りられる」というルールではない
ただ、利用者にとっては実質「借りられる」という意味なので、こちらの意味で使われることが多いです。
配偶者貸付があれば、消費者金融でも借りられる
この「配偶者貸付」というルールによって家庭に入っている女性(自分の収入があることが条件)でも、消費者金融でキャッシングできるようになっています。「収入がない既婚女性では、消費者金融でキャッシングできない」とよく書かれていますが―。
- それは、アイフル・SMBCモビットなどの「大手の消費者金融」の話」
- 中小業者や信販系の消費者金融だったら、家庭に入っている女性(自分の収入があることが条件)でもOKなところはある
- これらの消費者金融は「配偶者貸付」のルールを適用している
なので収入のない既婚者の女性は、消費者金融では借入不可というのは、半分正解ですが、半分間違いなんですね(大手では借りられない、というだけなのです)。
配偶者貸付は、銀行カードローンには関係ない
また、これもよくある勘違いとして銀行カードローンも、配偶者貸付によって家庭に入っている女性に融資しているというものがあります。しかし、これは間違いです。理由は下の通りです。
- 配偶者貸付は「貸金業法第13条の2第2項の規定の例外」というもの」
- 貸金業法第13条の2第2項の規定は「貸金業法」のルール
- 貸金業法は「消費者金融やカード会社を管理する」法律
- 銀行は「銀行法」で管理されている
- だから「貸金業法」は関係ないし、貸金業法の一部である「配偶者貸付」も関係ない
では配偶者貸付が関係ないのに、なぜ家庭に入っている女性に融資できるのかというと、下の通りです。
銀行カードローンの融資は、規制が特にない
答えはシンプルで、銀行カードローンの融資には、最初から規制がほとんどないのです。
- いくらの限度額で融資してもいい
- 取り立ての規則も、法律的には特にない
- 審査のルールも特にない
たとえば審査については、50万円以上を融資する場合で見てみると、下のようになります。
- 消費者金融…収入証明書の提出が必要(と法律で決まっている)
- 銀行カードローン…特に確認する必要はない
なので、消費者金融は50万円以上の借り入れでは、所得確認資料の確認が必須となっていますが、銀行カードローンは100万円~300万円まで確認不要と「かなりゆるい」わけですね。
というように、銀行カードローンの審査・融資にはほとんど規制がないので「配偶者貸付」も、最初から関係ないということです。(関係ないから、既婚者の女性でも借りられる、というだけなんですね)
配偶者貸付のキャッシングに必要な書類は?
配偶者貸付を使って専業主婦がキャッシングするために必要な書類―。これは一覧にすると下のようになります。
- 婚姻関係の証明書
- 夫・旦那の同意書
- 専業主婦本人の身分証明書
「婚姻関係を証明する書類」については下の通りです。
- 住民票
- 戸籍抄本
- 戸籍謄本
などの種類の書類を提出すればOKです。ほとんどの人は、一番簡単な住民票を提出するようになっています(審査する側もその方が簡単なので、これが一番でしょう)
夫・旦那の同意書はなしでOKな銀行カードローンも
2つ目の「夫・旦那の同意書」(配偶者の同意書)については提出しなくても借りられるという銀行カードローンが結構あります。簡単に一覧にすると下の通りです。
- 三菱UFJ銀行カードローン
- みずほ銀行カードローン
- イオン銀行カードローンBIG
- 楽天銀行スーパーローン(カードローン)
全国各地どこでも借りられる大手銀行では上の4つの銀行で、エリアが限定されている「地方銀行のカードローン」も入れると―。
- 横浜銀行カードローン
- 東京スター銀行カードローン
なども、配偶者の同意書なしでOKというルールになっています。
配偶者の同意書が必要だと、夫バレ・旦那バレする
当然ですが配偶者の同意書必須という条件の銀行だと、夫バレ・旦那バレは必至です。同意書を偽造するのは、いちおう「私文書偽造等罪」という犯罪ですし、通報まではされないにしても半永久的なブラックリストに入るというのは間違いありません。
「ただ返済できなかった」というだけのブラックリストではなく「確信犯的に違法行為を働いた」という点で、かなり重度のブラックリストになります。
こういう虚偽の申告の扱いは、ブラックリストを管理する個人信用情報機関では、特に決まりがありません。「内容の悪質度に応じて決める」ということでしょうが、とにかく相当、今後の借入審査で不利になることは間違いありません。
すべての借入審査で不利になるというのは、たとえば「借金」をしなくても、高還元率のクレジットカードの審査などを受ける時にも不利ということです。(私はクレジットカードの強制解約になったことがありますが、そのせいかワイモバイルの契約すら落ちたくらいです)
というように、重度のブラックリストになると「相当、私生活で困る」ので、これだけは絶対に避けましょう。
そもそも配偶者の同意書なしでOKの銀行カードローンがあるのだから、必須の銀行であえて申し込む必要がないわけです。なので、先に書いた6つの銀行のどれかで、申し込むようにして下さい。
夫・旦那がすでにカードローンで借り入れしている場合は?
配偶者貸付は「夫婦の年収を合算する」というルールなので、下のようになります。
- 夫・旦那がすでに、他で借り入れしている、という場合―。
- それを差し引いた金額だけ、借りられる
逆に言えば夫・旦那がすでに相当借り入れしているという場合、「配偶者貸付を使っても、一円も借りられない」という可能性もあるわけです(これはめったにないですが)。
そういう時初めて「夫・旦那に借金がある」ことがわかるケースも多いのですが、とにかく「夫・旦那の借り入れ」の影響もある、ということは意識しておいて下さい。
夫・旦那の収入の3分の1まで借りられる、わけではない
配偶者貸付のルールは、冒頭に書いた通り「夫婦の年収を合算」した後「その3分の1まで借りられる」というルールになっています。しかし、実際の配偶者貸付では、3分の1まで借りることは、基本的に無理です。ポイントをまとめると、下のようになります。
- 大体は「30万円~50万円」になる
- 夫・旦那の所得確認資料は提出しなくてOK
- 夫・旦那の収入に関係なく、30万円や50万円に「一律で」決まる
なのでうちの夫は年収300万円だから、100万円までキャッシングできるわねと思っていたら、かなりがっかりするでしょう。
なぜ夫・旦那の収入が関係ないのか?
配偶者貸付のルールにも関わらず、なぜ「夫・旦那の所得が関係ない」のか?この理由をまとめると、下の通りです。
- 仮に夫・旦那の収入を調べても、その金額のうち「いくらまで」その専業主婦が使えるのかわからない
- 夫・旦那の収入が多くても「自分は全然使えない」専業主婦もいるし、逆に少なくても「自分がほとんど使える」という専業主婦もいる
こういうのが「第一の理由」です。そして、第二の理由が―。
- 夫・旦那の収入まで審査すると、「審査コスト」がかかる
- そのコストは、「金利」によって回収する必要がある
- そうなると「全体の利用者の不利益」になる
- だから、夫・旦那の収入証明書は審査しない
つまり決して「審査が緩い」のではなく「全体の顧客の利益」を考えているということです。(ムダを省くというのは、顧客のためにも重要なことなのです)
30万円・50万円なら、返済できるに決まっている
上に書いたのは「夫・旦那の収入が関係ない」という理由ですが、さらに30万円~50万円に決まる理由は、下の通りです。
- 配偶者貸付のルールは「年収の3分の1まで」である
- ↑(夫婦の年収を合算した、3分の1まで)
- つまり、30万円の融資なら「二人の合計年収が90万円」あればいい
- 50万円貸すなら「150万円」あればいい
- 普通の家庭だったら、このくらいあるに決まっている
そのため、30~50万円と融資枠を一律で決めておけば、夫・旦那の収入を審査するまでもないということです。
夫・旦那の在籍確認もされない
さらに、配偶者貸付をする場合でも夫・旦那の在籍確認をするという業者・銀行はほとんどありません。この理由は2つあり―。
- 女性が「専業主婦」という時点で、夫・旦那はしっかり仕事をしているはず
- 夫・旦那も「第三者」であり、第三者に借金のことをバラしてはいけない
前者については感覚で納得できるでしょう。奥さんが家庭に入っているくらいだから、夫・旦那はしっかり働いているのねと思うのは、普通の感覚です。
そして、後者についてですが、これは貸金業法などの法律によって第三者に借金の事実を知らせてはいけないということが明記されています。そして、夫・旦那などの家族も、法律的には「第三者=他人」なので、彼ら・彼女らに「借り入れがバレる」ようなことをしてはいけない、ということですね。
夫・旦那の在籍確認をしたら、当然その家庭に入っている女性の借金は、夫・旦那の知る所になります。貸金業法のルールに従ってそれを守るためにも、配偶者貸付でも、夫・旦那の在籍確認はしないというシステムになっているのです。
まとめ「配偶者貸付とは?」
以上「配偶者貸付とは何か」という内容をまとめました。最後に整理すると、下のようになります。
- 「夫婦の年収を合計」して、「その年収の3分の1まで」融資していい、というルール
- 「貸金業法第13条の2第2項の規定の例外」と呼ばれるルール
- 貸金業法第13条の2第2項の規定の一部なので「貸金業法」のルール
- 銀行カードローンは厳密には関係ない
- 必要書類は「配偶者の同意書・婚姻関係の証明書など」
- 銀行では「配偶者の同意書不要」のところもある
- そういう銀行なら夫バレ・旦那バレしない
- 配偶者貸付の融資枠は、大体30万円~50万円
ちなみに、限度額についてはソニー銀行カードローンの「10万円」など、一部「30万円・50万円」より小さい銀行カードローンもあります。しかし、何かしらの金額は借りられる…と考えてください。