専業主婦が生活苦でキャッシングする場合、公的資金の借り入れも検討しよう
専業主婦がキャッシングする時、その理由が「生活苦」の場合は、公的資金を頼るというのも一つの手段です。簡単にポイントをまとめると、下のようになります。
- 母子家庭の場合…母子福祉資金
- 一般家庭の場合…生活福祉資金
- 求職中の場合…職業訓練受講給付金
- 年金生活者の場合…年金担保貸付
本当に生活苦で困っている場合、これらの公的資金による融資を受けることができます。以下それぞれ詳しくまとめます。
シングルマザーなら「母子福祉資金」
シングルマザー・母子家庭の場合、「母子福祉資金」という融資を受けることができます。(もちろん、シングルマザーの場合は「専業主婦」とは呼びませんが、「籍だけ残している」という場合は、「自分の収入がある女性」扱いになるので、一応一緒に書いています)
母子福祉資金の支援内容は資金の利用用途ごとに、金額が違うという風になっています。たとえば、例を出すと下の通りです。
- 生活再建資金
- 就学・修学資金
- 就職準備資金
- 転居資金
- 災害復旧資金
それぞれの使い道ごとにその目的だったら、この金額があれば十分だろうという金額を出してもらえます。もちろん「本当にその資金用途に使う」という証明を、何らかの書類でする必要がありますが、その証明さえできれば、「必要な金額をほぼ全額」融資してもらえるということです。
母子福祉資金を受ける条件は?
母子福祉資金を受ける条件は、市区町村などの自治体によって多少違います。「シングルマザー・母子家庭である」という条件だけはどこでも共通していて、あとは収入などの基準が「一定以下」であればOKです。
(詳しくは、それぞれの地方自治体の公式サイトを見てみてください)
母子福祉資金を申請して審査に通った場合も最短即日融資を受けるということは、できません。審査にかかる日数・期間としては申し込みから、大体3週間程度と言われます。
なので、急ぎでお金が必要な時に消費者金融などのキャッシングのように使う…ということはできませんが、「中長期的に、生活を立て直す」という時には、これほどいい融資はないでしょう。
- 圧倒的に低金利である(消費者金融の10分の1程度)
- 連帯保証人をつければ、無金利になる(自治体による)
- 役所との関係ができて、公的機関に相談しやすくなる
このようなポイントです。最後の「公的機関に相談しやすくなる」というのは、こういう場所にいくと、子育てなどで悩んだ時に相談できる場所を、自然と教えてくれるからです。
どんな世界でも、「専門家と知り合うと、さらに専門家を紹介してもらえる」ということが多いですが、それは「母子家庭の悩み」でも同じなんですね。
というような「副次的なメリット」もあるので、シングルマザーの女性で生活に困窮しているという場合は、キャッシングもいいですが、並行して女性福祉資金の借り入れも検討するようにして下さい。
一般家庭の場合は「生活福祉資金」
母子家庭でない、一般家庭で生活に困窮している…という場合は「生活福祉資金」という総合的な支援があります。生活福祉資金は大別して「3通り」の人を支援するようになっていて―。
- 困窮家庭
- 障害者
- 高齢者
となっています。「障害者」にも「高齢者」にも該当せず「健常者で生活苦になっている」という人・世帯の場合は「困窮世帯」として、支援を受けます。
支援の内容は、母子福祉資金と同じく「利用用途によって、適切な金額」となっています。
- 仕事探し
- 住居の引っ越し
- 育児・学業
- 冠婚葬祭
などのありとあらゆる用途に関して「○○貸付」という種別があり、その利用用途に「通常必要な金額」が融資されます。
生活福祉資金の金利は、0~1.5%
生活福祉資金の金利は、実質年率で「1.5%」というのが基本。しかし「連帯保証人をつける」という条件で、金利ゼロになることがほとんどです。
1.5%という金利がどれだけ安いか、他の借り入れの金利と比較してみると、下のようになります。
- 消費者金融…18.0%(実質年率)
- 銀行カードローン…14.5%(実質年率)
- クレジットカード(ショッピング)…15.0%(実質年率)
- クレジットカード(キャッシング)…18.0%(実質年率)
- 住宅ローン…1~3%(実質年率)
- 奨学金…2%(実質年率)
- ろうきんカードローン…8%(実質年率)
- 生活福祉資金…1.5%(実質年率)
生活福祉資金は、住宅ローンや奨学金並(かそれ以上に)安いということがわかるでしょう。
保証人をつければ、生活福祉資金は無利息
さらに、生活福祉資金は連帯保証人をつければ「金利ゼロ」、つまり無利息で借りることが可能です。
消費者金融・銀行カードローンの無利息期間は、初回30日間無利息など「期限付き」ですが、生活福祉資金はまったく期限なしということです(さすがに、数年以内には返済する必要がありますが)。
連帯保証人というのは、親でも誰でもOKです。生活を立て直したいので、保証人になってほしいといえば、大抵の場合はOKしてもらえるでしょう。
(消費者金融や銀行カードローンではなく、国からお金を借りるわけですからね。親御さんなども信用してくれるはずです)
というように「圧倒的な低金利で借りられる」というのも、生活福祉資金の魅力。生活苦・低年収によってキャッシングが必要という方は、キャッシングでお金を借りる前に、生活福祉資金で融資を受けることを検討してみてください。
求職中なら「職業訓練受講給付金」
職業訓練受講給付金は、ハローワークで職業訓練を受けて、月10万円を「もらう」というもの。「貸付」ではなく「もらうお金」なので、返済義務はありません。
つまり「月10万円の給料をもらいながら、職業訓練を受ける」ようなものですね。「いいのか?」と思われるかも知れませんが、自衛隊幹部を育てる防衛学校なども、「給料をもらいながら」勉強をしています。(あと、赤十字病院の付属大学などもそうですね)
ということで、そのような「お給料をもらいながら職業の訓練をする」というのは、職業訓練受講給付金に限らず、赤十字や防衛大学など、ありとあらゆる場所で日本政府が認めていることなんですね。
なので「そこまでしてもらっていいのだろうか」などと、遠慮する必要はないわけです。真面目に働いているのに低年収という人の場合、この「遠慮しすぎる」という癖が悪い方に出ていることが多いですが、気遣いがあるということ自体は良いことなので、上のようなことを考えて、職業訓練受講給付金を堂々とともらって、それで職業訓練に励んでください。
職業訓練受講給付金の内容は?
職業訓練受講給付金の基本精神ばかり話して、内容を話していませんでした。内容を箇条書きすると下のようになります。
- 月額10万円「もらえる」
- もらえるお金なので、返済はしなくていい
- 職業訓練に毎回出席するのが条件
- やむを得ない事情で出席できない場合も、「8割以上は出る」という条件(割合は多少異なる場合も)
これが、基本的な内容。さらに給付される条件まで詳しく書くと下の通りです。
- 本人月収が月8万円以下
- 家族の月収(世帯月収)が25万円以下
- 世帯の貯金(資産)が、300万円以下
- 家族・世帯が、「自宅以外」に不動産を持っていない
などがあります。要は一定以下の貧しい人しか、もらう資格がないということですが、それは当然でしょう。
たとえば「セミリタイアしたお金持ち」が―。
- 趣味で何か特技でも身に付けるか
- ハローワークの職業訓練が、無料らしい
- 受講して資格を取りつつ、給付金ももらおう
などと言い出したら、とんでもない制度になってしまいますからね。(もっとも、リタイアしてもこんな真面目な遊びをするお金持ちも、あまりいないとは思いますが。笑)
とにかく「家族も含めて」一定以下の水準であるというのが、職業訓練受講給付金をもらえる条件です。
(他の融資制度でも全部同じですが)
年金生活者なら「年金担保貸付」
家庭に入っている女性が「生活苦」からキャッシングする場合、その女性が、夫婦ともにすでに年金生活者という場合もあるでしょう。昔は少なかったケースですが、最近はこうした「下流老人」と呼ばれる老夫婦世帯が増えています。
そして、そのような「高齢者の専業主婦女性」がキャッシングする場合、年金担保貸付という制度もあります。この内容を簡単にまとめると、下のようになります。
- 毎月の年金から天引きする方式で、返済する
- なので、返済不能になることがない
- かなりの確率で、審査に通る
- 大体「200万円」を上限に借りられる
- (その人の年金支給額にもよる)
このようになるわけです。
年金担保貸付の金利は「1.5%程度」
金利についても、生活福祉資金や母子福祉資金などとほぼ同じ1.5%程度の実質年率となっています。ただ、その人の年金が「厚生年金」か「共済年金」かによっても変わるなど、少々複雑です。
しかし「大体1.5%」と考えてください。これは言うまでもなく、住宅ローン・奨学金などの「特に低金利な借り入れ」と同等の低金利です。
唯一難点があるとしたら、借りられる金額がそれほど大きくない、ということ。そもそも国の融資制度なので、消費者金融・銀行カードローンのように「売上のために、できるだけたくさん融資するという発想はないからです。
逆に言えば、年金担保貸付制度を利用し始めた時点で「資金繰りがかなりヤバい」ので、あまり借り過ぎない方がいいでしょう。なので、融資枠についてはどの道、これ以上借りない方がいいという点で、年金担保貸付の借入枠で、問題ないといえます。
まとめ「専業主婦が利用すべき公的資金」
以上、生活費や教育費のために、専業主婦がキャッシングする時、消費者金融・銀行カードローンの代わりに使うべき公的資金についてまとめました。最後にもう一度要点を整理すると、下のようになります。
- 困窮世帯全般…生活福祉資金
- 母子家庭・シングルマザー…母子福祉資金
- 父子家庭・シングルファザー…父子福祉資金(←補足)
- 求職中の場合…職業訓練受講給付金
- 年金受給者…年金担保貸付
このような、それぞれの種類の公的融資を利用するのがいい、ということです。キャッシングも便利ですが、3週間くらい待てるという人は、ぜひこれらの貸付も検討してみてください。