キャッシングの用語まとめ|割賦販売法・銀行法・分割払い・リボ払いなどの説明
キャッシングやクレジットカード・銀行カードローンを借りする法律として、貸金業法の他にも―。
- 割賦販売法
- 銀行法
ここではこの2つの法律の説明と合わせて―。
- 分割払い
- リボ払い
- リボ払いの返済方式
などの説明をしていきます。
「割賦販売法」とは
割賦販売法とは、クレジットカードや分割払いを管理する法律です。キャッシングの他の法律との違いは下のようになります。
- 貸金業法…消費者金融や、クレジットカードのキャッシングを管理
- 銀行法…銀行カードローンを管理
このようになっています。「クレジットカード」が二度出てきましたが―。
- キャッシング枠…貸金業法
- ショッピング枠…割賦販売法
そして、それぞれ管理している…というわけですね。
何で同じクレジットカードなのに、法律を分けるのか?
同じクレジットカードの機能なのに、何で管理する法律がわかれているのか?と思うでしょう。これは、下の通りです。
- 先に登場したのは「割賦販売」(商品の分割払い)で、これに関しては、「経産省」が管理する「割賦販売法」が成立していた
- その後、後から(1960年代から)消費者金融が登場し、1983年から、貸金業法が生まれた
つまり「貸金業法が後」だったわけですね。そして、下のように言えます。
こういうことなのです。要は下の通りです。
- 商品を扱わない「キャッシング」というビジネスが登場してしまったため、それに合わせた法律が必要になった
ちなみに、貸金業法が制定された1983年頃というのはすでに、「サラ金地獄」という言葉が生まれていた時代です。こうした状況で、多重債務者・借入超過者を出さないために、貸金業法の制定が必要になった…ということです。
銀行がキャッシングをしていたのでは?
上の「キャッシングの歴史」の話を読んで「銀行が、すでに銀行カードローンでキャッシングを提供していたのでは?」と思う人もいるでしょう。しかし、下のようにも言えます。
- 銀行はずっとやっていなかった
- 1980年代に、三和銀行が少しカードローンを導入したが、すぐに撤退してしまった
こういう経緯があります。銀行が「銀行カードローン」という形で個人向けのキャッシングに参入してきたのは、この15年ほどのことなんですね。
銀行が個人向け融資に参加していなかった理由
この理由はシンプルで、「コストに見合った利益が期待できなかった」からです。
そのため、昔の銀行にとって消費者金融のような、個人向けのキャッシングを提供するなど、考えられないことだったんですね。消費者金融はこの課題を―。
これらによってクリアしたわけですね。そして、消費者金融の大手の経営者が、軒並み高額所得者の上位にランキングされているのを見て、ようやく銀行も、個人向け融資の可能性に気づいた…という風です。
バブル期は、不動産関連の融資の方が儲かった
もう一つ、銀行が個人向けキャッシングに手を出さなかった理由は下の通りです。
- バブル期は、企業を中心に不動産関連で融資した方が、断然儲かった
- だから、わざわざ個人向け融資をする必要はなかった
一方、銀行のような資金力も、社会的信用もなかった消費者金融は、「個人向け融資に活路を見出す」しかなかったわけです。「人間万事、塞翁が馬」ではありませんが、これが消費者金融にとって良い方に出たわけですね。
(そして、これもやはり「塞翁が馬」で、儲かり過ぎた消費者金融は、今度改正貸金業法などによって、急激に叩かれることになるのですが…)
何はともあれ、こうした経緯があって、「個人向けのキャッシングを管理する法律」というのは、貸金業法が1983年に登場するまで、なかったのです。なので、クレジットカードの中でも―。
- キャッシング機能
- ショッピング機能
のそれぞれで、管理する法律が違っている…というわけなんですね。
「銀行法」とは
銀行法は、文字通り銀行を管理する法律です。
- 銀行カードローンや住宅ローンなどの融資だけではなく、預金業務など、すべてを管理する法律
これが「貸金業法」と同じではいけない、というのは言うまでもないでしょう。銀行の業務は、あまりにも広過ぎますからね。
また、もちろん「割賦販売法」でもダメです。銀行は分割払いもしていないし、クレジットカードを発行するにしても、あくまで「付随的な業務」ですからね。
なので、銀行カードローンでも、マイカーローンや住宅ローンなどのその他の「真面目な借り入れ」であっても、銀行に関するものはすべて「銀行法」によって
管理されている…というわけです。
「クレジットカード」の借り入れ
クレジットカードの借り入れは、大別して2通りあります。
- ショッピング枠
- キャッシング枠
の2種類ですが、それぞれの違いは下のようになります。
- ショッピング枠…買い物しかできない
- キャッシング枠…「現金で直接借りる」しかできない
こういう機能がまず一つ。で「審査基準」については下の通りです。
- ショッピング枠…ややゆるい
- キャッシング枠…厳しい
理由は下の通りです。
- 現金で直接借りると、投資・ギャンブルなどにも使えるし、他社借入の返済にも使えてしまうので、破産のリスクが高い
一方、買い物だったら「商品を運んだり、保管したりする」という物理的な作業があるので、比較的破産しにくいわけです(それでもカード破産というのはもちろん、ありますけどね。キャッシング枠ほど危険ではないということです)。
ショッピング枠の方が低金利
さらにキャッシング枠とショッピング枠の違いを挙げると「金利・利息面」も指摘できます。
- ショッピング枠…実質年率15%程度
- キャッシング枠…実質年率18%程度
このようになっています。
- ショッピング枠…大体銀行カードローンと同じ
- キャッシング枠…大体消費者金融と同じ
こういう風ですね。ショッピング枠の方が低金利なのは―。
- そうして多くの利用者が買い物にそのクレジットカードを利用してくれれば、加盟店も「VISAを導入してから、お客さんが増えた」と満足してくれ、さらに加盟店が増える
- 加盟店が増えたら、使える場所が多くて便利なので、さらに利用者も増える。そして、加盟店も…
こういう好循環が生まれる…というわけですね。一方キャッシング機能については下の通りです。
- その利用者が借りて、どこかで「普通の現金」として買い物をするだけなので、お店の人も「クレジットカードによって売上が増えた」とはわからない
- つまり、利用者一人で完結してしまう
- なので「広告」としての価値がない
いわば―。
- ショッピング枠…ネットワーク性がある
- キャッシング枠…それがない
そのため、このネットワークの性質を活かすために、クレジット会社は「ショッピング枠の方を、より低金利にする」ということなのです。
「分割払い」について
金融の世界で分割払いというのは2通りあります。
- 商品の分割払い
- キャッシングの分割払い
こうした2つですね。
- 「特定の商品」を、何回かに分けて支払うのか
- 「現金を借りて」、その返済を分割でしていくのか
こういう違いです。そして、同じ「分割払い」でも―。
このように、管理する法律が分かれています。
クレジットカードのショッピングは、この中間である
そして、気づいた人もいるかも知れませんが―。
- クレジットカードのショッピング機能で、商品を買って、リボ払いで返済していく
こういうのは、上の両者の中間です。つまり、「分割払いとキャッシングの中間」ということですね。クレジットカードのショッピング機能でも―。
- 3回払いというような、「回数が決まった返済方法」だったら、それは「分割払い」である
これらしかし、下のようにも言えます。
- 「リボ払い」は、「いつの分を払っているのか、よくわからない」し、回数も決まっていないので、「商品」を買ってはいるけど、キャッシングに近い
当然クレジットカードの中でも、一番破産しやすい利用方法はリボ払いですが、これは「キャッシングに近いから」という理由もあるわけですね。
「リボ払い」とは
リボ払い(リボルビング払い)は、「回数の決まっていない分割払い」です。
- 分割払い…3回、5回というように「返済回数」が決まっている
- リボ払い…決まっていない
では、リボ払いは何が決まっているのかというと、下の通りです。
- 「月々の最低支払金額」が決まっている
- その金額だけは、絶対に払わないといけない
- それさえ払えば、限度額の範囲内で、追加でいくら借り入れしてもいい
「返済方式」とは
返済方式というのは、下のように言えるからです。
- 一括払い
- 分割払い
- リボ払い
などの「支払いのルール・システム」のこと。返済方法との違いは、返済方法は、下のようになります。
- 銀行振込での返済
- 提携ATMでの返済
このように、返済の「手段」とか「場所」を示す…ということですね。そして、返済方式は「システム」や「ルール」などの「目に見えないもの」を示している…ということです。
返済方式は、さらに細かく分かれる
上の返済方式の分け方は、「一番大きい分け方」です。たとえばこの「リボ払い」の中でも、下のような返済方式があります。
- 元利定額
- 元金定額
- 元利定率
- 元利定額
- 元利定額残高スライド
- 元金定額残高スライド
- 元利定率残高スライド
- 元金定率残高スライド
こういう8種類です。よくリボ払いの返済方式の種類は3種類と、キャッシングの情報サイトで書かれていますがこれは間違いです。3種類なのは「種類の分岐点」です。
- 「元利」か「元金」か
- 「定率」か「定額」か
- 「残高スライド」か、普通か
2つに分かれる分岐点が3つあるので、「2の3乗」で、8種類になる…ということなんですね。
リボ払いの返済方式の8種類の違いは?
それぞれの分岐点ごとに説明すると下のようになります。
- 元利…まず利息から払う
- 元金…まず「元本」から払う
たとえば、その月の利息が「2000円」で、支払いは「1万円」だったとしましょう。この場合、下のようになります。
- 元利…先に「1万円」から「2000円」を引くので、元本は「8000円」減る
- 元金…先に「1万円全部」を元本に当てるので、元本は「1万円減る。代わりに、利息をまた2000円別に払う
つまり、元本が減る量は―。
- 元利…8000円だけ
- 元金…1万円
そして、その月の支払い金額は―。
- 元利…1万円
- 元金…1万2000円
こうなります。
- 元利…支払いは楽だが、元本は減っていない
- 元金…支払いはきついが、元本は多く減っている
どちらが良いかは、その人次第です。もちろん、できれば「元金方式」で返済した方がいいのは、言うまでもありません。
「定率」「定額」の違いは?
「定率・定額」の違いは下のようになります。
- 定率…借入残高の「何%」を毎月払う
- 定額…毎月「○○円」を払う
こういう風。
- 定率…「割合」で決める
- 定額…「金額」で決める
そして、それをそれぞれ―。
- 先に「利息」に当てるか(元利)
- 先に「元本」に当てるか(元金)
こういう違いが出るので、この時点で―。
- 元利定額
- 元金定額
- 元利定率
- 元金定率
こういう4種類が生まれるわけですね。「2×2」で。
「定率・定額」どちらも、難点がある
ただ、この定額・定率の返済方式は、どちらもデメリット・短所があります。というのは、下のように言えるからです。
- たとえば「定率」で「借入残高の50%を払う」と決めていた場合―。
- 借入残高が「1000万円」だったら「500万円」払う必要がある
- 逆に借入残高が「5000円」だったら「2500円」しか払わない
つまり借入総額によって、妥当性が大きくずれるわけですね。
一方、これは「定額」の場合も同じで―。
- 「毎月1万円」払うと決めていたら、「借入残高一億円」でも、1万円しか払わない
こういうことになるわけです。明らかにおかしいですよね。
だから「残高スライド」が登場する
つまり、「定率」にしても「定額」にしても、返済方式は、常に借入残高に合わせて、金額やパーセントを変えるべきなのです。それで「残高スライド」という条件が追加されるわけですね。
- ここまで書いた通り、定率・定額のルールは維持する
- しかし、その%や金額を、「借入残高」に合わせて変化させる
そうすれば、上に書いたような「借入残高1億なのに、1万円しか払わない」というような、「異常事態」にはならないわけですね。
実質、リボ払いの返済方式は4種類
こうした理由から、実質リボルビング払いの返済方式の種類は―。
- 元利定額残高スライド
- 元利定率残高スライド
- 元金定額残高スライド
- 元金定率残高スライド
の4種類しかないわけです。「残高スライド」抜きのものだと、どうしてもおかしくなるわけですね。なので、理論上は残高スライドなしもあり得るのですが、実際の現場では、ないということです。