代位弁済とは?Wikipediaの要約 ~弁済委託・供託・相殺などの解説|キャッシング用語集
キャッシングでの代位弁済とは、カンタンに書くと返済不能になって、保証会社がその人の代わりに全額返済をしたという履歴です。要は「貸し倒れ」のことです。
保証会社というのは、「審査を担当する」会社で、審査して「保証人」になったようなものです。もしその利用者が貸し倒れになったら、その保証会社が「代わりに全額返済する」という仕組みなのです。なので、利用者の側からしたら「代位弁済=貸し倒れ」のことでOKです。
そして、これは「キャッシングの世界」の話であって、本当の代位弁済は、もっと複雑です。ここでは、「さらに正確な内容」を説明していきます。
(なお、当サイトは「美人キャッシング」というコンセプトなので、途中「目の保養」として、女性の画像も入れています。笑)
目次
さらに正確な「代位弁済」の内容
さらに正確に「代位弁済」について書いていくと、まず―。
- 第三者弁済
- 代位弁済
の両者は違うということです。どう違うかというと、下の通りです。
- 第三者弁済…親友達でも、保証会社でも「誰かが代わりに返済」したら、すべてこう呼ぶ
- 代位弁済…あくまで「法律的な効果」が伴うもの
こういう違いです。そして、代位弁済の「法律的な効果」ですが、簡単に書くと下の通りです。
- その「肩代わり」をした会社や人が、業者・銀行の代わりに「立て替えた分を請求する権利があるか」
こういうことになります。法律的には「原債権を取得する」となりますが、要は下の通りです。
- ただ代わりに返済して助けるのではなく、本来の業者・銀行にかわって、その人に対して「請求していく権利」があるか
そして、この「請求していく権利」ですが―。
- 親や友達などが「約束通り払えよ」というレベルではなく、「法的に、決まっている」権利でなければいけない
基本的には親友達が借用書を作る程度ではNGです。おそらく、法的な効力がある借用書を作っても―。
- それを「本来の貸し手である業者・銀行が知らなければ」
- それは「代位弁済」とは呼ばない
こういうことになるでしょう(このあたりはまだ調査中ですが、おそらく)。
Wikipedia「代位弁済」の要約
代位弁済について一番詳しいのはWikipediaですが、内容が難し過ぎて、多くの人はわからないと思います。なので、一つ一つの行を引用しながら、「何が書かれているのか」を説明していきましょう。
■ 参考ページ
Wikipedia「代位弁済」https://ja.wikipedia.org/wiki/代位弁済)
代位弁済(だいいべんさい)とは、「弁済による代位」という法律効果を伴う弁済をすることをいう。
これは
- 「代わりに返済したら代位弁済」ではない
- 「法律的な効果がある」もの、だけが代位弁済と呼ばれる
このようになるわけです。
代位弁済の場合の代位とは、弁済者が債権者が有していた原債権を取得することをいう。
これは、下の通りです。
- 「代位弁済」の「弁済」は「返済」のことである
- そして、「代位」とは何かというと、「代わりに返済した人」が、「もともとの貸し手」が持っていた、「取り立ての権利」をもらえること
このようになるわけです。
- 弁済者…代わりに返済した人
- 債権者…もともとの貸し手
- 債権…取り立ての権利(返済してもらう権利)
「取り立ての権利」と書くと、何やら冷たいようですが、「そもそも、自分の財産を貸した」わけですから、返してもらうのは当たり前です。というより、ここでひどいのは「返さない方」なんですね。当たり前ですが。
(ゲームソフトの「借りパク」だと思えばわかりやすいでしょう)
ということで、代位弁済というのは、下のように言えるからです。
- ただ「代わりに返済」をするだけではなく、その「代わりに返済した人」が、もともとの貸し手に代わって、支払いを請求していく
こういうもののことです。この「請求」も、あくまで、法律的に認められているもののみです。親や友達などが「ちゃんと払ってね」というのでは、「代位弁済」とは言いません。
(これは「第三者弁済」といいます)
保証人が保証債務の履行を求められ、債務者に代わって弁済した場合には、
これは、下の通りです。
- 「借りた本人」が返済できなくなった
- 「貸し手」が保証人に対して、「ねえ、あなたが保証人でしょ?責任とってよ」と言った
- その保証人が支払った
上記のような場合には―。という意味です。
- 保証債務…「自分が保証人になった」借金のこと
- 債務者…「借りた本人」
ですからね。そして、話を進めます。
債務者に対する求償権が発生し(459条・462条)、
これは、下の通りです。
- 「借りた本人」に対して、「代わりに返済しといたから、これからは私に払ってね」
- …という権利が発生する
こういう意味。それが民法のそれぞれの条項に書かれている、ということです。
で、ここで一度Wikipediaの文章は「内容が変わり」ます。(変わっているのに、「。」で句切らずにずっと延々と続いているのですが…)
「保証人でない」第三者が代わりに返済した場合
第三者が債務者に代わって第三者弁済をした場合には、
この「第三者」というのは、保証人でない人という意味です。日常使われる「他人」という意味ではないんですね。
(それだと、保証人も「第三者」になってしまいますが、「保証人は第三者ではない」のです。法的には)
そして、そうして「保証人でない人」が代わりに返済した場合はどうなるのかというと下のようになります。
弁済委託があれば民法第650条に基づき、弁済委託がなければ民法第702条に基づき求償権が発生する。
つまり、「弁済委託」が―。
- ある…民法の650条
- ない…民法の702条
のルール通り、「返済を請求する権利」が発生しますよ、ということです。(求償権=返済の請求権のこと)
弁済委託とは
弁済委託とは、まず具体的な例から書きましょう。
- Aさんが、消費者金融から借金をした
- そして、返済できなくなった
- Aさんは町工場の社長で、「Bさんの工場」の手形も持っている
こういう設定。そして、下のように言えます。
- 手形というのは「現金と同じ価値」があるので、消費者金融はこの手形を「お金の代わり」として抑える
- そして、Aさんを素通りして、Bさんに請求する
どう請求するかというと、下の通りです。
- 「すみません。Aさんが貸し倒れになったのですが…」
- 「Aさんは、あなたの会社の手形を持っているんですね」
- 「なので、この手形を、私どもがいただきました」
- 「ついては、この手形を現金化して、Aさんの代わりに払っていただきたいのですが…」
これはひどいことでも何でもなく、法的に当たり前のことです。悪いのは、返さないAさんです。で、Bさんとしては、下の通りです。
- (手形の現金化って、面倒なんだよな…)
- (でもやらないといけないしな…)
- (そうだ、国税庁に代わりにやってもらおう)
国税庁には、「徴収職員」というポジションがあって、こういう手続きを代行しているんですね。そして、この手形の現金化などによる代位弁済の手続きを、徴収職員に依頼するというのが、「弁済委託」です。箇条書きすると下のようになります。
- 弁済委託とは、徴収職員に、第三債務者(ここでいうBさん)が、手形の現金化などの作業を、おまかせすること
面倒だから、国税庁に代わりにやってもらうということです。
そして、その場合は当然「国税庁に払う手数料」などを決めておく必要があります。それが書かれたのが、「民法の650条」というわけですね。なのでWikipediaは―。
- もしそういう「弁済委託」をする場合は、「民法650条」を参考する
と書いているわけです。
「弁済委託がない」ケースとは?
これは、上の「Bさん」が―。
- (弁済委託すると、国税庁に費用を払わないといけないだよな…)
- (まあ、手形の現金化は、俺は慣れてるし、自分でやるか)
と考えて「自分でやった」ケースです。要するに普通のケースですね。そして、下のように言えます。
- その場合も、Bさんにとっては当然「手間」である
- だから、BさんはAさん(元の借り手)に対して、「おい、この手間賃、払ってくれよ」という権利がある
というわけです。これも当然ですね。そして、下のように言えます。
- その「手間賃」を、「どこまで請求していいのか」を、法律で決めておかなければいけない
- なので、それを決めたのが、「民法の702条」
そのため、特別なことはありません。
- 本来なら、ここでBさんが請求する「手間賃」は、法外なものにはならないはずだけど、まれに「法外な金額」を請求する人がいたので、わざわざ「民法でルールを決めました」
- なので、これを見てください
法律というのは当たり前のことを守らない人がいるから、増えていくものなんですね。みんなが良識のある国だったら、法律の条項は一気に少なくなるのです。
そして、またWikipediaの文章に戻りましょう。
代位弁済には「2つの請求権」がある
代位弁済は、これらの請求権のほかに、債権者が有していた債務者に対する債権に、弁済者が代位することも認めるものです。
「これらの請求権」というのは、上に書いた―。
- Bさんが手形の現金化などで「代わりに返済」した場合―。
- その手間とか、国税庁に依頼した場合「その依頼料金」もかかっているので、それをAさん(貸し倒れになった人)に請求する権利
本来Bさんは、こんな労力も依頼料金も払う必要がなかったのですから、それをAさんに請求するのは当然です。
そして、上の引用文に書かれているのは―。
- そういう「手間」とかの分の請求だけではなく、「Aさんが貸し倒れになった分のお金」に対しても、↑(つまり「Aさんの借金」に対しても)
- 今後は「貸した人」として振る舞う権利がある
このようになるわけです。
- 債権者…貸し手
- 債務者…借り手(Aさん)
- 弁済者…代わりに返済した人(Bさん)
- 債権…「貸したお金を返してもらう」権利
- 代位…その「債権」を交代すること
これが、それぞれの用語の意味です。
Bさんは、手形を使って「Aさんに借金していたのでは?」
上の例え話だと、するどい人はこれに気づいたでしょう。
- 確かにBさんは「代位弁済」をした
- しかし、それはBさんが、「Aさんに手形を渡していた」からだ
これは何を意味するかというと、下の通りです。
- Bさんは、Aさんに借金していた
- だから、消費者金融はBさんに取り立てに来た
- だったら、Bさんが「代位弁済」したからといって、この借金について「今後Aさんに請求していく」権利はない
このようになるわけです。
- 確かに手間賃とか、手形を現金化する依頼費用(弁済委託をした場合)
- …は、実際にかかっているので、それはAさんに請求していいけど、元の借金まで請求することはできない
これはその通りで、これを「相殺」といいます。代位弁済してあげた分で、借金を打ち消したということですね。しかし、Bさんには「相殺させない」という選択肢もあります。というのは、下のように言えるからです。
- Bさんは本来、「手形の期日」が来るまで、Aさんにお金を払う必要はなかった
例えていうなら―。
- Aさんは「レンタルビデオ店」だった
- Bさんは「ビデオ」を借りた
- 約束なら「1週間」は返さなくてよかった
- しかしAさんの事情で突然「今日返して」と言われた
これは明らかにAさんが悪いですよね。
- レンタルビデオの場合は、「料金」を払う
- 同様に、「手形で借金する」場合は、「利息」を払う
こういうことで、Bさんはしばらく待ってもらうためのお金を払っているのです。(正確には、手形に「利息」はないのですが、要は「本来の金額より大きい金額を、手形に書く、ということです)
こうして「料金」を払っていたのに、Aさんの都合で「突然返さないといけなくなった」…ということは、Bさんとしては「資金繰りが狂う」わけです。なので、下のようになります。
- その「狂った分の損失」をAさんに払ってもらうか、「もう一度手形を発行」して、それをAさんに「強制的に、買い取ってもらう」ことができる
こういうわけです。(強制的にというのは、繰り返しますがAさんがもともとの原因なのです。Bさんが押し付けているわけではありません)
このように―。
- 手間賃や依頼料金以外でも、「元の借金」についても、弁済した人(Bさん)が、「交代=代位」する権利がある
こういうのは「形がいろいろ」なんですね。上のBさんの場合、下のようになります。
- また「手形を発行して」
- 再度「Aさんからお金を借りる」
こういうことになります。「以前と変わらないじゃん」と思われるかも知れませんが―。
- AさんはBさんに迷惑をかけたので、Bさんが「前より低金利にしてくれ」と言ったら、飲まざるを得ない
などのケースも考えられます。なので、何も変わっていないように見えても、Aさんがエラーした以上、Bさんにとって有利な状況が生まれたわけです。(場合によっては、このAさんの貸し倒れは、Bさんにとっては好都合だった可能性もあります)
弁済は「現金」だけとは限らない
「弁済」には、狭義の弁済だけでなく、弁済とみなすことができる場合を含む。
これは弁済には「いろいろあるよ」ということです。そして、何があるかというと、下の通りです。
- 代物弁済
- 供託
- 相殺
- 連帯債務者との混同
- 連帯保証人との混同
それぞれ説明すると下のようになります。
- 代物弁済…不動産や自動車などの「物」で返済すること
- 供託…借り手(Aさん)が「事前に裁判所にあずけておいた財産」から払う
- 相殺…たとえば銀行口座から「借金の金額」が抜かれること(銀行ではなく業者から)
- 連帯債務者との混同…「連帯債務者」に払わせる
- 連帯保証人との混同…「連帯保証人」に払わせる
ややこしいですが、それぞれ説明していきましょう。(代物弁済はわかると思うので、それ以外の部分だけ説明します)
「供託」とは?
これは具体的な例を出しましょう。たとえばあなたが今から、アパートを借りるとします。そして、下のように言えます。
- 当然「家賃」を大家さんと決める
- しかし、ある日突然、大家さんが「値上げ」するかも知れない
- なので「今後2年、絶対にこの家賃で固定してください」と交渉する
そして、大家さんはどう出るか。たとえば、下のようなケースがあるわけです。
- (うーん、2年か…)
- (来年は東京五輪だしな…)
- (その時には、臨時に外国人に貸したりできるしなあ…)
- (家賃の固定はしたくないなあ…)
こう考えるわけですね。そして、大家さんは、「じゃあ、2年分前払いしてくれるなら、いいですよ」と言うわけです。(たとえばですが)
そして、あなたとしては、下の通りです。
- (冗談じゃない)
- (この大家がお金に困ってて、)
- (二年分の家賃をもらってすぐ、自己破産する可能性もある)
- (そうなったら、前払いした家賃は返ってこないぞ)
と思うわけです。しかし、このままでは交渉が成立しない。そして、どうするかというと「弁済供託」という方法を使うのです。
「弁済供託」とは?
上のケースで、あなたが下のような提案をするんですね。
- 「わかりました。2年分のお金は、実はあります」
- 「ただし、これは『裁判所』に預かってもらいましょう」
- 「これだったら、私が払わずに逃げることもないし」
- 「大家さんが『家賃だけもらって逃げる』こともありません」
もちろん、はっきり言葉に出して、こんなやり取りはしません(笑)。しかし、要はこういう意味です。つまり、弁済供託というのは「いざという時のためのお金」を、裁判所に預かってもらうということなんですね。
ヤフオクの「Yahoo!」に似ている
これはちょうど、ヤフーオークションでいう「Yahoo!」の立場です。
- 買う人…お金を払っても、品物が届くか不安
- 売る人…先払いしてもらわないと、不安
これはわかるでしょう。なので、下のようになります。
- 先払いする
- ただし、そのお金は「Yahoo!」に預かってもらう
- そして、無事に品物が到着したら、Yahoo!はそのお金を、「売る人=出品者」に払う
これも「供託」と似た原理です。
で、代位弁済と供託の関係は?
そして、この「供託」がどう、代位弁済と関係するのか。たとえば上の例で―。
- 大家さんが「多重債務者」で、返済不能になった
とします。そして、大家さんにお金を貸している銀行や消費者金融が、「取り立て」に来ます。そして、あなた(入居者)が、裁判所にあずけているお金を発見するわけです。
そして、こう言うわけですね。
- 「大家さん。これ、あなたが将来的にもらえるお金でしょ?」
- 「これ、借金の代わりに差し押さえしますね」
当然、大家さんは逆らえません。(繰り返しますが、ここで悪いのは大家さんです。まるで銀行や消費者金融が悪者のように、思われてしまいがちですが)
あなたにとっては、青天の霹靂である
そして、ビックリするのはあなたです。というのは、下のように言えるからです。
- 「将来の家賃」として預けておいたお金が、「大家さん」ではなく、なぜか「消費者金融」や「銀行」によって抜かれた
このようなことですから。つまりあなたは―。
- 大家さんの「代わり」=代位弁済なんてするつもりはなかったのに、アパートの契約の時に「弁済供託」をしたため、意図せず「代わりの返済者」になってしまった
ただ、あなたとしては問題ありません。
- もともと、2年住むつもりだったから、2年契約をした
- また、実際に払うつもりだったから、裁判所にあずけておいた
こういうだけだからです。唯一不安だったのは、大家さんがトンズラすることでしたが―。
- 大家さんは、裁判所に預けられていたお金を「受け取った」ことになる
- ということは「二年分の前払いが完了した」
- しかも、「裁判所がそれを知っている」
そのため、この部屋から、立ち退きする必要は、2年間は絶対にないわけですね。
- なぜか「代位弁済」をしたことになって、少々驚いたものの、とりあえず、あなたの生活は何も変わらない
こういうわけです。こういう形の「ちょっと変わった代位弁済」もあるわけですね。これが、Wikipediaが書いた「こういう代位弁済もある」という意味です。
「相殺」とは?
これは、先に書いたAさんとBさんのケースです。
- Bさんは、Aさんの「代位弁済」をしてあげた
- しかし、実はBさんも「Aさんから借金」していた
- だから、これを打ち消しし合った
もちろん、金額の大小はあるでしょうが、要は「その金額の分だけ」相殺する…ということです。
というのは「わかりやすい相殺」です。では、「わかりにくい相殺」とは何か。
「銀行口座から抜かれる」のも相殺である
実は、相殺で一番多い例が「銀行口座から抜かれる」もの。
- あなたが、消費者金融に返済しなかった
- だから、消費者金融が「あなたの口座」からお金を引いた
こういうものです。もちろん、これは毎月の引き落としとは、まったく別です。たとえば、例を出すと下の通りです。
- 引き落としでは「三菱UFJ銀行」の口座を使っていたが、それとは別の「みずほ銀行」の口座から、抜かれた
こうしたケースですね。(繰り返しますが、ここで悪いのは消費者金融ではなく、返済をしなかった人です。*「あなた」を例にしてしまっていますが…)
そして、こう思う人もいるでしょう。
- これのどこが「相殺」なんだ?
- ただの「差し押さえ」じゃないか?
と。一見そう見えます。しかし―。
銀行預金は「銀行にお金を貸して」いるのである
日頃あまり意識しませんが、実は銀行は、私達から「借金」をしているのです。
- 利子=金利である
- 私たちは消費者金融と同じように、銀行に「お金を貸して」、その「金利=利子」を受け取っている
実は銀行口座を持っている時点で、誰もが金貸しなのです。
そして、その「銀行口座からお金を抜かれる」ということは、下のように言えます。
- あなたが返済不能になったので、あなたから借金していた銀行が、代わりに返済することになった
- 代わりに銀行は「あなたから借りてたお金は、もう返しませんよ」と宣言する
こういうことなのです。この「宣言する」というのが「預金通帳がゼロになる」ということなんですね。「あなたからの借金、相殺しておきましたから」という、銀行からのメッセージです。
つまり預金通帳の残高というのは「銀行がしている借金の金額」なのです。銀行は国民から「膨大な借金」をしているんですね。
これが「相殺」です。もちろん、他にも相殺はいろいろあるのですが、一番多いケースは、この「銀行口座との相殺」です。
連帯債務者・連帯保証人との混同
「混同」というのは、法律用語です。要は払わせるということ。つまり「同一人物と見なす」という意味ですね。(借りた人と同一と見なす)ということです。
同一である以上、支払いの義務も同一です。なので、「払わないといけない」わけですね。これも当然「代位弁済」になります。
そして、気になるのが―。
- 連帯債務者
- 連帯保証人
これらの違いでしょう。これは、下の通りです。
- 連帯債務者…より厳しい
- 連帯保証人…ややマシ
- 単純保証人…一番マシ
となります(わかりやすくするため、単純保証人=普通の保証人、も出しました)。そして、どう厳しいのか・マシなのかというと、下の通りです。
- 連帯債務者…延滞が「なくても」常に支払い義務がある
- 連帯保証人…延滞が「あった時だけ」支払い義務がある
- 単純保証人…延滞が「あっても、本人が破産するまで」支払い義務がない
つまり、延滞の有無では―。
- 「なくても」払う…連帯債務者
- 「あったら」払う…連帯保証人・単純保証人
そして、連帯保証人と単純保証人の違いは下のようになります。
- 延滞が「あった瞬間」支払い義務が出る…連帯保証人
- 延滞が「あっただけでは」支払い義務がない…単純保証人
この違いを説明します。
単純保証人が「払わなくていい」ケース
まず、これを説明するのが一番です。たとえば、例を出すと下の通りです。
- あなたは「Aさん」の保証をした
- そして、Aさんが返済不能になった
- そして、消費者金融があなたに取り立てに来た
こういうケースなのですが、下のように言えます。
- 確かにAさんは「延滞」をした
- しかし、この消費者金融は、まだAさんには「1回も取り立てをしていない」
- なのに「いきなり、あなたの所に来た」
としましょう。これは明らかにおかしいですよね。なので、下のようになります。
- 「ちょっと待て。先にAさんに請求しろよ」と言える
- あなた(単純保証人)には、この権利がある
- これを「催告の抗弁権」という
こういうわけです。
- Aさんに「催告」しろよ、という、「抗議の弁論」をする
- 「権利がある」
「当たり前じゃね?」と思うかも知れませんが、この当たり前の権利が、連帯保証人にはないのです。なので、連帯保証人は怖いんですね。
- 借り手(Aさん)が、お金があるのに「わざと延滞」しても、請求は、あなたの所に来る(来ても文句を言えない)
からです。つまりAさんがキャッシング業者とつるんでいるかもしれないわけです。それでも「延滞があったら即座に、文句をいえなくなる…。これが連帯保証人の恐ろしさです。
もう一つの権利「検索の抗弁権」
また、単純保証人(普通の保証人)にはもう一つの権利があります。それが「検索の抗弁権」。簡単に書くと下の通りです。
- キャッシング業者が取り立てに来た
- 業者「Aさんにも、もう督促しましたよ!でも払ってくれないんです」
- 業者「さあ、あなたが払ってください!」
このように言ってきたとします。しかし、下のようにも言えます。
- 実はAさんは資産を持っている
- あなたはそれを知っている
こういう場合、こう言えるわけですね。
「いや、よく調べろよ。Aさんは資産を持ってるから」と。つまり「Aさんがわざと逃げようとしていた」としても、それができないわけです。そして、下のように言えます。
- 業者がAさんの資産を調べた
- やっぱり「資産ゼロ」だった(本当にそうだった)
こういう場合は初めて、単純保証人でも、支払い義務が生じるわけですね。一方、これが連帯保証人だった場合、下のようになります。
- 「先にAさんを調べろ」と言えない
- 業者が「調べていようがいまいが」
- 業者が来た時点で「払わないといけない
もしまだAさんが延滞していないなら、連帯保証人でも払わなくていいいのですが、「一度でも延滞・滞納があったら」払わないといけない…ということなんですね。
そして、この「よく調べろよ」の「調べる」が「検索」なので、この権利のことを「検索の抗弁権」というわけです。
- 単純保証人…検索の抗弁権が「ある」
- 連帯保証人…検索の抗弁権が「ない」
これもやはり「連帯保証人の方が無茶苦茶」ですが、連帯保証人になるというのは、そのくらい覚悟がいることなのです。
「連帯債務者」はさらにヤバイ
そして、気づいたと思いますが、下のように言えます。
- 連帯保証人よりもさらに上の、連帯債務者になったら、もはや人生の終わり
(相手が信用できない人だったら、ですが)というのは、下のように言えるからです。
- 相手(Aさん)が、一度も延滞をしていなくても、連帯債務者になった瞬間、業者はいつでも、「あなたから取り立てできる」
こういうことだからです。連帯債務者というのは「完全に本人と同じ」扱いなんですね。
なので、連帯債務者になるというのは、本当に限られたケースです。
- 夫婦
- 親子
- 兄弟
くらいですね。兄弟でも少々微妙なくらいです。要は「この人に裏切られたら、もうその時は仕方がない」というレベルで初めて、連帯債務者になるわけです(連帯保証人でもそうですが)。
その連帯債務者・連帯保証人が払うのも、代位弁済
用語の説明が少々長くなりましたが、何にしても―。
- こうして「連帯保証人や連帯債務者が支払う」のも、当然ながら「代位弁済」の一種である
Wikipediaが書いているのは、そういうことです。
(連帯債務者の意味とか「混同」の意味がやっかいなので、難しく感じますが…)
不動産などの担保と、代位弁済の関係
さらには、債権者が担保権の実行などにより満足を得た場合にも代位が認められる
これはどういうことかというと、下の通りです。
- Aさんが、銀行に借金を申し込んだ
- 銀行は「Aさんは信用できないので、保証人をつけてください」と言った
こういうのが始まり。そして、下のように言えます。
- Aさんが「Bさん」を連れていった
- しかし銀行は「Bさんも信用できません」と言った
そして、どうしたかというと、下の通りです。
- Bさんは「不動産」を持っている
- なので銀行は「その不動産を担保にしてくれるなら、いいですよ」と言った
こういうわけです。
- 普通だったら、Aさんは「自分の不動産」を担保にするのだけど、Bさんという「他人の不動産」を担保にして、銀行からお金を借りる
そして、無事に借りたものの…
Aさんが返済不能になったら、Bさんが不動産を取られる
当然ですが、Bさんは返済の「保証」をした以上―。
- Aさんが返済不能になったら、Bさんが自分の不動産を銀行にとられる
不動産を使って、保証人になったんですからね。
なので、Bさんは「Aさんの身代わりになった」わけですが、これも代位弁済です。代位弁済にはこういう、不動産などの担保を伴ったものもありますよということを、Wikipediaは書いているのです。
(担保権というのは、ここでいう「銀行が、不動産を取り上げる権利」のことです)
(担保権の実行により所有権を失った物上保証人や抵当不動産の第三取得者が代位する)。
これが、上で説明した内容です。「物上保証人」というのは、「不動産」などの「物」の信用によって、保証人になった人のこと。そして、「担保権の実行により、所有権を失った」というのは、上に書いた例です。
- Aさんが返済しなかったので、銀行が「担保を取り上げますよ」と言って、担保になっていた「Bさんの不動産」を取り上げて、Bさんが「所有権を失った」
このようになるわけです。
「抵当不動産の第三取得者」とは?
これは、抵当権が設定されている不動産を買い取った人です。抵当権というのは、下のように言えるからです。
- たとえば、山田さんが「土地」を持っている
- そして、山田さんがその土地を持って、銀行に「お金貸して」と言った
- 銀行は「その土地を担保に」お金を貸した
- もし、山田さんが返済しなかったら、銀行は「土地を取り上げる」ことができる
この返済しなかった時、財産を取り上げる権利を「抵当権」といいます。そして、この時―。
- 山田さんの土地には、「銀行の抵当権」がついている
- いわば「汚れた」状態だけど、その土地を気に入って「買い取った」鈴木さんがいた
とします。そうしたら、この鈴木さんは、抵当不動産の、第三取得者となるわけですね。
- 抵当不動産…山田さんの土地のこと
- 第三…山田さんでも、銀行でもない「三人目の人」ということ
- 取得者…そのまま
こういう意味です。要は「汚れた物件を買い取った人」です。
何のために、そんな物件を買うのか?
これは「うまくやれば、得する」からです。ここからが「代位弁済」の出番です。たとえば、例を出すと下の通りです。
- 山田さんは、この土地を担保に、銀行から「5000万円」借りている
とします。しかし、下のようにも言えます。
- 鈴木さんは山田さんの状態を見て、「これなら、2500万円で買い叩けるな」と判断した
そして、2500万円で買うにしても―。
- この物件は、完全に鈴木さんのものにはならない
- 理由は、「山田さんの借金がまだ残っていて」
- その借金に対して「銀行が、抵当権をつけている」からである
このようになるわけです。
- 鈴木さんが土地を買い取っても、山田さんが破産したら、銀行が「担保権」を発動させて、「鈴木さんから」土地を取り上げることができる
こういうわけです。「そんなバカな」と思うかも知れませんが―。
- 「抵当権がついている土地」を買うということは、「土地だけ」ではなく、「その抵当権=取り上げられるリスク」もセットで、買う
当然ですが、誰も、そんな土地を買いたくないですよね。なので、「抵当権がついている土地は、価値が下がる」のです。
だから、買い叩ける
これは逆にチャンスでもあり、「だからこそ、買い叩ける」のです。鈴木さんが「2500万円で買える」と判断したのは、そういう理由なんですね。
そして、買い取ってどうするのか。鈴木さんは「銀行」と交渉するのです。
- 鈴木さん「銀行さん、山田さんからの取り立ての権利、私に売ってください」
- 鈴木さん「3000万円で買いますが、どうですか?」
と。そして、銀行は怒るわけです。
- 銀行「バカな。我々は山田さんに『5000万円』貸したんです」
- 銀行「だから、我々は5000万円もらう権利がある」
- 銀行「売るなら5000万円です」
と。しかし、鈴木さんがこう言うわけです。
- 鈴木さん「いや、あの土地はもう5000万円では売れませんよ」
- 鈴木さん「あなた達、バブルの時の値段で貸したでしょ?」
- 鈴木さん「もうバブルは弾けたから、今は売れてもせいぜい2500万円ですよ」
もちろん、バブルでなくても「不動産の値下がり」はよくある話です。そして、下のように言えます。
- 鈴木さん「それより、山田さんはそろそろヤバイでしょ」
- 鈴木さん「このままだと、そろそろ自己破産ですよ」
- 鈴木さん「そうしたら、山田さんから土地を取り上げて」
- 鈴木さん「それを『2500万円』で競売にかけて、終わりです」
このようになるわけです。
- 鈴木さん「そうなると、あんたら銀行の手元に入るお金は、」
- 鈴木さん「わずか2500万円ですよ?」
- 鈴木さん「だったら、私に『3000万円』で売った方が得と違いますか?」
このような話です。そして、これが事実だったら、銀行としては「鈴木さんに売った方がいい」のです。
- 山田さんが全額返済してくれたら理想だけど、それはできるかわからない
- それよりは、鈴木さんに「3000万円」で売って、山田さんの件は、終わりにした方がいい
実際―。
- 銀行はこういう「貸し倒れ」もある程度想定し、多少それが起きてもカバーできるだけの金利を、住宅ローンや自動車ローンなどで得ている
金利設定というのは貸し倒れが起きた時の補填分も込みなんですね。
なので、銀行が「よし、鈴木さんに売ろう」と判断したとします。そして、そうなるとどうなるか。
鈴木さんは「2000万円」得したことになる
整理すると、下のようになります。
- 銀行は本来、山田さんに、「5000万円」請求することができる
こういうのが出発点。そして、下のように言えます。
- その権利を、鈴木さんが「3000万円」で買った
- なので、今後は、鈴木さんが、山田さんに対して、「5000万円」請求できる
つまり、鈴木さんは―。
- 「5000万円」の「権利」を、「3000万円」の「現金」で買った
わけですね。あくまで「権利」なので、実際に5000万円に現金化できるかは、わかりません。
- もし、山田さんが5000万円返済してくれれば、鈴木さんは「2000万円」得したことになる
- しかし、山田さんが返済できなければ、鈴木さんが損をするかも知れない
鈴木さんが損をするケースというのは、下のように言えるからです。
- 山田さんが、すぐに自己破産した
- 鈴木さんが、土地を取り上げる
- そして、競売にかける
こういうのは、よくある流れ。
- しかし、銀行との交渉で、鈴木さん本人が言ったように、この土地は「2500万円」でしか売れない
このようになるわけです。
- でも、この土地を鈴木さんは「3000万円」で買った(銀行から)
- それが「2500万円」でしか売れなかったので、「500万円」損した
となるのです。銀行も「山田さんが自己破産したらそうなる」と思ったから、3000万円という「2000万円損する金額」で、鈴木さんに売ったのです。
では、なぜ鈴木さんは買ったのか?
これは山田さんに5000万円払わせる自信があるからです。たとえば―。
■ 山田さんに、隠れ資産があるのを知っている
銀行には隠しているけど、実は山田さんが資産を持っている…。という場合、下のようになります。
- 鈴木さんが(権利を買い取った後で)それを指摘すれば、山田さんは自己破産できない
- なので、「その隠れ資産を鈴木さんに渡す」必要がある
- こうして、鈴木さんは無事に「5000万円」回収できる
こういうわけです。つまり、ここでは鈴木さんは―。
- 「土地」ではなく、「山田さんの隠れ資産」によって、回収できると判断して、銀行と交渉した
こういうことなんですね。
■ 山田さんが「無形の資産」を持っている
これは「隠れ資産」とは違い―。
- 「特殊な技術」など、「見る人が見ないと」、どうお金に変えるのか、よくわからないもの
たとえば、山田さんがものすごくアクセスの多いサイトを持っていたとします。そして、下のように言えます。
- ウェブ業界の人間なら、これをどう「お金に変えるか」は熟知している
- 少なくとも、銀行の人より「高い利益を出す方法」を知っている
こういうわけです。なので、下のようになります。
- 銀行から見たら「こんなサイト、売っても10万円とかだろうな」と思うものが、鈴木さんから見たら「俺が改造すれば、年間1000万円の利益は出せる」
そうなったら「数年運用すれば、たとえ山田さんが自己破産しても、損失は出ない」となるわけですね。
なので、こういう「無形の資産」を山田さんが持っていて、「それを活用する方法を知っている人」からしたら、「回収できる案件」となるのです。
(回収というのは、実はクリエイティブな仕事でもあるんですね。回収する側に「特殊技能」があれば、こんなやり方もあるのです)
このような理由で、鈴木さんは「銀行の抵当権がついた、汚れた物件」を買うわけですね。そして、この鈴木さんのような人を抵当不動産の、第三取得者というわけです。
(正確には、鈴木さんは銀行と上のような交渉をして「抵当権」を放棄させるので、ただの「取得者」になるのですが。銀行との交渉の段階では「抵当不動産の、第三取得者」なのです)
これが代位弁済と、どう関係あったのか
代位弁済との関係は―。
- もし鈴木さんが、「ただ土地を買うだけ」で、銀行と交渉しなかった
こういう場合です。この場合、鈴木さんは「ただ、汚れた不動産を買った」だけなんですね。そうすると下のようになります。
- 山田さんが返済不能になった時、「抵当権」は銀行が持ったままなので、その「抵当権」とセットの土地(汚れた不動産)を買った、鈴木さんから、土地を取り上げることができる
こういうわけです。つまり、この場合の鈴木さんは、少々頭が悪かったということになるのですが、何はともあれ、下のように言えます。
- 「代位弁済」なんてするつもりがなかったのに、土地を買ったせいで、山田さんの代位弁済をすることになった
こういうわけですね。ただし―。
- これだけでは、鈴木さんが可哀想なので、今後は「銀行の代わりに」鈴木さんが山田さんから取り立てしていい
この「取り立ての権利の交代」のことを「代位」というのですが、下のように言えます。
- 鈴木さんは「土地で弁済」をした代わりに、山田さんに取り立てする権利を「代位」した
「代位弁済」というのは、そういう意味なんですね。
このように、かなり複雑な内容になりましたが、実はこれでも、Wikipediaの「概説」の半分だけです。行にしたら「3行」だけなんですね(笑)。
たった3行でも、ほとんど呪文かお経のような専門用語の嵐なので、すべて噛み砕いていくと、このくらいになります。法律用語や代位弁済について興味がない方だと、当然意味がないですが、「それぞれの用語について」「噛み砕くと、どういうことなのか知りたい」と思っている方にとっては、役立つかと思います。
というわけで、キャッシングやクレジットカードなどの関連の法律に興味がある方も、宅建主任の勉強や法学部の勉強などで必要としている方も、ぜひ参考にしてみてください。