キャッシング業者・銀行の借り入れの違い ~金利・審査通過率&利息制限法|カードローン用語集
この記事のまとめ
この記事ではまず、業者・銀行のキャッシングの違いが「金利」と「審査通過率」であることをまとめます。
- 金利と審査通過率は、必ず相反すること
- それは融資件数の上限が関わっていること
- 高金利は悪いことのように言われるが、新幹線などの「特急料金」と同じで、メリットも大きいこと
- 日本の利息制限法は、問題も多いこと
を指摘しています。「改正貸金業法のデメリット」という記事でも書きましたが、法定金利を厳しくすればいい…というものではないんですね。
「業者・銀行」の借り入れの違い
これらの借り入れは、それぞれどのように違うのか。まず実質年率(金利)について書くと下の通りです。
- キャッシング業者…高い
- 銀行…低い
これはいいでしょう。そして、審査通過率について書くと下の通りです。
- キャッシング業者…通りやすい
- 銀行…通りにくい
これも半ば常識ですね。ただ、とくに金利については下の通りです。
高いのはあくまで「上限金利」だけであって「下限金利」は大手の銀行カードローンの中でも特に安いので、その点はまず意識してください。そして、そんな「上限金利が高い」銀行カードローンを一覧にすると下の通りです。
- 新生銀行カードローン レイク…18.0%(実質年率)
- じぶん銀行…17.5%(実質年率)
- オリックス銀行…17.8%(実質年率)
このようになっています。これらが消費者金融の金利設定にどのくらい近いのかというと、下の通りです。
このようになっています。つまり、特に新生銀行カードローン レイク・ジャパンネット銀行のカードローンは「完全に、上限金利が大手の消費者金融と同じ」ということなんですね。もちろん、どちらも下限金利は低金利なのですが、要は「高額キャッシング向け」であって(金利面でいうと)、100万円以下の少額のキャッシングの時には、すべての銀行カードローンが低金利…というわけではないのです。
(ただ、銀行カードローンである以上、審査通過のしやすさについては、やはり消費者金融の方が上(審査に通りやすい)となっています。
「審査通過率」とは
キャッシング審査の審査通過率は、アコム・プロミス・アイフルの場合、それぞれの公式サイトで―。
- マンスリーレポート
- 月次データ
こういう資料として公開されています。これは借り手に向けた資料ではなく、投資関連の情報であって、要は「今月、我が社はこれだけの新規契約を獲得しました」というものです。
これは必ずしも多ければいいとは限りません。当然ですが、「たくさん貸し付けしているということは、回収できないリスクも、それだけある」…ということだからです。
また、一時期の武富士のように「過剰貸付」をしているかも知れない…と思われてしまうので(もちろん、今の大手はどこもしていません)、こうしたことも考えると、新規契約が多ければいいわけではない…というのはわかるでしょう。
なので、ただ、下のように言えます。
- 普通に融資して、その結果を普通に公開している
こういうだけです。当たり前のことですね。そして、それを見れば、一応の審査通過率がわかるわけです。審査通過率という名前ではないのですが、要は下の通りです。
- 新規で申し込んできた申込者のうち、審査通過した人の割合がどのくらいだったか
こういうデータなので、これはそのまま審査に通る確率と考えていいわけですね。なので、これが一般的に「審査通過率」と呼ばれているのです。
ちなみに、審査通過率は時期によって大きな変動があるので、一概にどのくらいとは言えないのですが、大体アコム・プロミス・アイフルだと「40%台」前後と考えていいでしょう。
キャッシングの「金利」について
キャッシングの金利に関して、基本的な原則をまとめると、下のようになります。
こういう「リスクとリターンの兼ね合い」のようなものがあります。これは当たり前で―。
「いや、限りなんてないだろ」と思われるかも知れませんが、あります。というのは、下のように言えるからです。
- 融資も審査も「コンピューター」がしているわけではない
- 自動審査は前半だけで、後半は人間が審査している(当たり前ですが)
- そう考えると、一人の社員さんが、こなせる審査の件数は限りがある
- 社員の人数が限られている以上、1日・1ヶ月でこなせる融資の件数も、限界がある
「じゃあ、社員を増やせば?」と言われるかも知れませんが―。
- 社員はそう簡単に増やせない
- パート・アルバイト・フリーターと違って、一度増やしたら、そう簡単に首を斬ることができない
これはわかるでしょう。そして、下のように言えます。
- 低金利にしているということは、それだけそのクレジット会社や銀行カードローンの利益は小さい、ということ
- ということは、社員を増やすためのお金も小さくなる
- だから増やせない
- だから、1ヶ月の融資の件数は、必ず上限がある
そして、そうして上限がある以上―。
なので
- 審査に通りやすい
- 金利が安い
こうした2つの条件を同時に満たす業者・銀行というのは、すぐに「借りられないくなる」→「自然と、審査が厳しくなる」ということなのです。
(あちらは、そうそうに月の融資件数の目標を達成できる以上「債権者(借り手)を選べる立場」にありますからね。
だから、カードローン審査の金利と審査通過率は、必ず「反比例」するのです。この点をよく理解しておいてください。
「融資件数」について
上に書いた通り、どんな銀行カードローンや消費者金融でも、月々の融資件数の上限は決まっています。これを決めないと、いわゆる「過剰貸付」になってしまうからですね。つまり「貸し過ぎ」です。
これが問題になったのが、改正貸金業法が出される前の武富士などの一部の消費者金融で、ああした問題を繰り返さないためには、融資件数の上限は、必ず設定しなければならない…ということになるのです。そして、融資件数のマックスが決まっている以上、上に書いた通り、審査の通りやすさと金利は必ず相反する関係になる…ということなんですね。(負の相関関係ということです)
「高金利」のキャッシング
高金利のキャッシング…というのは誰も利用したくないでしょうが、メリットもあります。と言うのは、金利でも書いた通り―。
- 金利が高ければ、それだけ審査に通りやすくなる
- 審査スピードも早くなるので、急ぎでお金が必要な時に有利
こういうことだからです。要は「特急料金」ということですね。貸金業以外でも、新幹線でも飛行機でもすべてに「特急料金」がありますが、消費者金融の金利が銀行カードローンより高いというのも、「特急料金」なのです。
貸金業というビジネスは昔から色眼鏡で見られるので、銀行より高金利というだけで「暴利を貪っている」などと表現されるのですが、じゃあ新幹線は、各駅停車に比べて、暴利を貪っているのか?ということですね。この論理がおかしいことは言うまでもないでしょう。
もし「銀行カードローンより高い金利」をとるのがいけないというなら、すべての貸金業者が、「銀行カードローンのように、ゆっくりと審査」すればいいのです。また、土曜日・日曜日・祝日の最短即日審査もしなければいいのです。絶対に困る人が出てくるでしょう。(困る人がいた=ニーズがあったからこそ、消費者金融というビジネスがこの50年間、発展し続けたのです。今は衰退しているなどと言われますが、それは「銀行カードローンが同じことをやるようになった」だけです)
ということで、高金利というのは、下のように言えるからです。
- ただの「特急料金」であって、法定金利の範囲内であれば、当たり前だが、悪いことは何一つない
わけですね。もちろん、返済の負担が大きくなるという「デメリット」はありますが、それは「新幹線やタクシーを使うと、お金が高くなる」というデメリットがあるのと同じです。
世の中に「デメリットのない行為」などないのです。「何かを得れば、何かを失う」という言葉通り、何かを得るというのは、必ずデメリット(対価)を伴うものなのです。
「利息制限法」とは
利息制限法は、主に「利息の上限」を決めた法律です。具体的には―。
- 10万円未満…20%(実質年率)
- 10万円~100万円未満…18%(実質年率)
- 100万円以上…15%(実質年率)
このように、実質年率の上限を決めています。これが「法定金利」と呼ばれるものです。
SMBCモビットでもアイフルでも、大手の消費者金融の上限金利はほとんどが「18.0%」になっていますが、これは利息制限法に基づいたものなんですね。
よくこれを「消費者金融は、法定金利の限界まで高金利にしている」などという人がいますが、これは間違っています。というのは、企業が存続しようとしたら、最低限これだけの金利は必要なのです。ポイントをまとめると、下のようになります。
- 「18.0%」の利息は、そのまま利益になるわけではない
- ここから地代や人件費・通信費・広告宣伝費などを、すべて引く
- そうしたら、数%の利益しかない
- 企業としては、最低限この程度の利益率はないと、存続できない
「いや、利益なんて出さなくても良いだろ」という人は、共産主義時代の中国か、今の北朝鮮で、ぜひ暮らしていただきたいものです。(戦後は、日本の知識人の間では、韓国より北朝鮮の方が「すぐれた政治」と言われていましたからね。中国や旧ソ連も同じですが)
利益は、出さなければいけないのです。「出せたら良いな」ではなく、義務なのです。理由は下の通りです。
- 利益ない場所に投資家は投資をしない
- 投資がなかったら、資金が集まらない
- 資金が集まらなければ、お給料も払えない(少なくとも、上げられない)
- 年収・月収が増えないなら、子供を養えない、結婚もできない
- 長く働く社員がいなくなる、また新卒の社員も来ない
- よって、その企業は存続できない
- そのサービスも消滅し、消費者も不便になる
「いや、他の会社があるだろ」というかも知れませんが、「その会社」は「利益を出したから」残ることができたのです(同じ条件だったら、ここで書いたような流れで、潰れていくのです。少なくとも、利益を出している所に潰されます。そちらの方が「投資」も「人材」も集まっているのですから)
また、「消費者が不便になる」ということについても「不便になればいいだろ」と思うかも知れませんが、そういう人に限って、いろいろ「便利な生活」を享受しているはずです。その生活がすべて「企業の競争」によってもたらされたことを、忘れてはいけません。(間違っても共産主義時代の旧ソ連や中国によって生み出された製品やサービスなど、ないはずです)
「誰も利益を求めず、みんなで分かち合う」という世界は理想のようですが、それは要するに、下のように言えます。
- ライオンはシマウマを殺さず、シマウマは草を食べず
- 草は、隣の草にすべての養分を譲る
こうした、自然の法則に背く世界です。こんなことをしたら―。
- 草は枯れ、シマウマは死に、ライオンも死ぬ
このような「地獄の世界」になってしまいます。(事実、共産主義時代の中国では、二千万人が餓死しました。庶民が人肉を食べ合っていたことは、劉少奇など、当時のトップがハッキリ公に発言したことです。だから、彼は毛沢東に消されたんですけどね)
「白河の 清きに魚の 住みかねて」という、松平定信の改革を批判した川柳もありますが、これと同じように理想を求めて、自然の掟に背く世界は、結局人を不幸にするわけです。逆に言えば決して理想でなくても、自然の法則に従っている方が、人生でも社会でも、良い方向に行くということなのです。そして、競争というのは自然の法則です。ただのガスの塊だった地球に、何で生命が生まれ、何で競争するようになったのかは本当に謎ですが、なぜか生命は、競争するように作られてしまったのです。(本当に何でか不思議なのですが)
そういう風に作られた以上、競争すればいいんですね。そして、負けて死んでいった人に対する弔いの気持ちも大切です(金子みすゞの「大漁」という詩の通りです)
だから、消費者金融が「法定金利の上限まで金利を設定する」のは、当たり前すぎるくらい当たり前のことなのです。(日本の法定金利が、異常に低いのです)なので、金融の専門家の間では利息制限法を撤廃して、市場の競争にまかせろという意見も出てるんですね(利息制限法撤廃論)というものです。
と、少々貸金業の本質のような話になりましたが、こうした理由から、消費者金融の金利は、利息制限法の上限いっぱいに制定されているわけです。決して、世間の不勉強な人々がいうような「暴利」を貪っているわけではありません。