専業主婦のキャッシングのポイント ~レディースローンだと借りやすい?返済に遅れる時は?~
この記事では、家庭に入っている女性(自分の安定収入があることが条件)のキャッシングについて、特に下の二つのポイントをまとめています。
- レディースキャッシングは、自分の収入がない既婚者の女性でも借りられるのか
- 自分の収入がある女性のキャッシングで、返済に遅れそうになったら、どうすればいいか
こういう内容です。以下、それぞれ詳しくまとめていきます。
目次
レディースローンは、家庭に入っている女性(自分の収入があることが条件)でも申し込みやすい?
レディースローンでも、基本的に収入がない既婚女性ではキャッシングできない…と思ってください。ポイントをまとめると、下のようになります。
- レディースローン(レディースキャッシング)というのは、あくまで女性の申し込みを「歓迎している」というだけであって、金利や審査基準については特に変わらない
このようになるわけです。
- レディースキャッシングを提供するのは、基本的に「消費者金融」である
- 消費者金融は貸金業法の対象である
- ということは、「貸金業法第13条の2第2項の規定」の対象である
- なので、基本的に収入のない既婚者の女性には融資できない
このようになるわけです。
「配偶者貸付」を使えば融資できるが…
キャッシングの知識がある人だったらしているかも知れませんが、キャッシングの世界には「配偶者貸付」というルールがあります(キャッシングの世界というより貸金業法の貸金業法第13条の2第2項の規定の中には、ですが)。
これはいわゆる「貸金業法第13条の2第2項の規定の例外」というもので、この配偶者貸付を適用すれば、本来「貸金業法第13条の2第2項の規定によって借り入れができない」家庭に入っている女性(自分の収入があることが条件)でも、お金を借りることが可能になるわけですね。
配偶者貸付は「夫・旦那の同意書」が必須である
この配偶者貸付というのは、基本的に「夫・旦那の同意書が必須」という条件なんですね。正確には「夫・旦那の同意書」ではなく「配偶者の同意書」です。
何が違うかというと、たとえば「男性」が「主夫」をしていて、女性が働いているという場合には、この男性の方が、奥さん・妻の同意書をもらう必要がある…ということですね(めったにないですけどね)。
なので、要は男女どちらでも(夫・旦那でも奥さん・妻でもどちらでもいいので)配偶者貸付を適用するには、配偶者の同意書をもらう必要があるということ。そして、家庭に入っている女性の場合は「夫・旦那の同意書」をゲットしてくる必要がある…ということ。これが厄介なんですね。
当然、夫バレ・旦那バレするわけである
当たり前と言えば、当たり前ですが、どんなジャンルでも「人の同意書を偽造する」ということは許されません。それでは同意書の意味がないですからね。また、訴えられたり刑事事件になるほどではないのですが、配偶者の同意書の偽造も「私文書偽造」という軽い犯罪になります。なので、くれぐれもやってはいけません(借入先が中小の消費者金融であっても、もちろん同じです。
そして、そうして配偶者の同意書をもらうことによって夫バレ・旦那バレしてもOK…という家庭に入っている女性は基本的にいないでしょう。家計のために必要な借り入れ…という場合は別ですが、大抵の場合、夫・旦那に相談できるようなキャッシングをする…という家庭に入っている女性は少ないはずです。
なので、確かに―。
- 中小の消費者金融のレディースローンでも、配偶者貸付によって「家庭に入っている女性でも借りられる」借入先はある
- しかし、夫・旦那の同意書が必要で、必ず夫バレ・旦那バレするので、実質、ほとんどの家庭に入っている女性にとって、借りられないようなもの
このようになるわけです。
レディースキャッシングでも、女性に審査が甘くならない理由
レディースキャッシングという宣伝文句をうたっているのに、なぜ女性に対して審査が甘くならないのか―。ということを疑問…というか不満に思う人もいるかもしれません。この理由を箇条書きすると下のようになります。
- 本当に女性だけが申し込むなら、多少審査基準を柔軟にしてもいいかも知れない
- しかし、実際には「女性のヒモとして生活している」男性もいる
- そういう男性が、恋人や奥さんにレディースローンで借りさせる
- …という可能性もある
実際、世の中には本当にいろんな人がいるので―。
- 男性がまったく働かず、女性がキャバクラや風俗店などでたくさん稼いで、まるで母親のように男性を養っている
このようなパターンは非常に多いわけですね。そして、そのような男性と女性のカップルを融資審査に通してしまうと―。
- 女性にとって不幸なのはもちろん、男性の自立心が完全になくなってしまう
- という点でも問題があるので、そうしたカップル・夫婦に対しては、融資しないのが正しい
こういうわけです。いや融資しないのが正しいというよりは、要は「審査をゆるくしてはいけない」ということです。消費者金融やキャッシング業者の本音としては、「女性は男性より低収入なのだから、サービスしてあげたい」と思うかも知れません。しかし、下のようにも言えます。
- 審査をゆるくした途端、そういう「裏に男性がいる借入申込」が増えるようだと、社会的にも問題があるし、そのカップル・夫婦にとっても幸せではないので、そうして審査をゆるくすることはできない
こういうわけです。
女性向けローンでも、低金利にはならない
また、「女性向けローンだからといって、審査をゆるくはできない」というのと同様、女性向けローンでも、低金利にはできないという事情もあります。理由は主に2つあって、下のようになります。
- ①…現状の法定金利は、消費者金融を経営していくために、ギリギリの金利である
- ②…女性向けローンの金利を下げると、これも男性の申し込みが増える可能性がある
①については長くなるので、ページ下部で詳しく解説します。↓
ここでは「②」の方について、詳しく説明していきましょう。
レディースキャッシングなのに、男性が申し込む?
実は、これは意外とよくあるのです。というのは、先に書いた通り「女性のヒモ」になっているような男性が、女性に申し込ませるからですね。別に「女性のヒモ」でなくても―。
- カップル・夫婦でお金を借りようとしている時に、通常のキャッシングより、レディースローンの方が低金利とわかれば、どんなカップル・夫婦でも、レディースローンの方でお金を借りる
こういうのはわかるでしょう。そして、今のネット全盛時代、こういう情報は口コミ・評判ですぐに伝わっていきます。なので、このカップル・夫婦が「少しでも低金利でお金を借りよう」とした時に、「レディースキャッシングの方が低金利」というのは、すぐに伝わるわけです。そして、下のように言えます。
- そうなると、大手の通常のキャッシングは、女性はもちろん、男性からの申し込みも大幅に減る
- 割合としては小さくても、母数が大きい大手の消費者金融なので、金額に換算すると、膨大な損失になる
そのため、特に大手になるほど「レディースキャッシングだからと言って、低金利にはできない」というわけですね。
そもそも、なぜ「レディース割引」があるのか
「レディースローンなら低金利になる」というイメージは、普通のカラオケなどのサービスで、よく「レディースデー」があるからでしょう。レストランでも野球場でも何でもありますが、なぜこのような「レディース割引」があるのか、考えたことはあるでしょうか。これは、下の通りです。
- 女性が集まる場所には男性も集まる
- (少なくとも、逆よりはそうなる)
- また、女性は単独行動を好まないので、必ず友達と来るか、彼氏や夫・旦那を連れてくる
つまり女性にサービスすると、集客効果があるということなんですね。一見サービスしているように見えますが(いや、していますが)、要は「海老で鯛を釣る」という狙いがしっかりあるわけです。
(狙いというとあざといと思われるかも知れませんが、利用者にとっては普段より割り引かれるわけだから、断然得です)
というように、「リアルの集客がある仕事」だったら、レディース割引を適用する意味があるわけです。しかし、下のようにも言えます。
- 消費者金融は言うまでもなく「こっそり」借りるものである
- だから「女性の利用者が多い」と言っても、それで「男性の申し込みが増える」ことはないし、女性の申し込みも別に増えない(どこだって、女性が多数利用しています!と書かれているので)
つまり、レディース割引が適用される業種は限られているのです。そして、消費者金融などの「人が集まって賑やかに何かする」というのはでない仕事は、「レディース割引は関係ない」わけですね。
審査が甘い・低金利なレディースローンは危険
実は―。
- 「審査が甘い」レディースローン
- 「通常より低金利な」女性向けローン
こういうのは、確かにあります。しかし、これらは―。
- 大抵無名の中小の消費者金融がやっているものであり、裏で風俗店や反社会勢力とつるんでいることが多い
こういうのも事実です。ここで言う風俗店とは健全に運営されている多くの風俗店とは違い、アンダーグラウンドに経営されている店のことです。そして、大体想像はつくと思いますが、下のように言えます。
- 彼らは、低金利や「ゆるい審査」をうたって、女性を集める
- そして、返済できないような金額を、どんどん貸し付ける
- 徐々にヤミ金に誘導していく
- そして、ヤミ金で決定的に返済できないようにする
- 実家などの情報を掴み、逃げられないようにする
- その上で、風俗店に「売り飛ばす」
売り飛ばすのではなく自社で風俗店を経営している
ということも多いです。まともな風俗店でない以上、まともな方法では「人材」を集めることができないので、こうやって集めるわけですね。
『下流喰い』にも描かれている人身売買
こうしたアンダーグラウンドな貸金業者の実態を描いた書籍として『下流喰い』がありますが、ここでも、著者の須田慎一郎氏が潜入した「人身売買」の現場が描かれています。箇条書きしていくと、下の通りです。
- 新宿・歌舞伎町のレディースローンが主催するもの
- このレディースローンでお金を借りて、返済できなくなった女性を「競り」に出している
彼女たちは「借入総額+50万円」で売られるのが相場で、たとえば500万円の借金があったら、その女性の価値は「550万円」ということになります。
殺されるわけではないし、返済が済んだら自由になるわけなので、「命自体を買われた」わけではありません。しかし「命の5分の1くらいは買われたようなもの」と、一般的な感覚だと思うでしょう。となると、単純計算して、これらの女性の命の値段は「3000万円程度」ということになってしまいます。
上の「500万円」という数字も、大体一般的な借入総額のようです。ホストクラブなどで、500万円以上のツケがある女性は、「割と簡単に、この人身売買に参加する」と、須田慎一郎氏が取材した男性は語っています。
「命に値段をつけてはいけない」のは当然ですが、実際にはこのような「人身売買」が、今の日本の、東京の真ん中で起きているわけですね(真ん中の地下の方ですが)。このような恐ろしい現実もあるので、くれぐれもこういう審査が甘いレディースローンでは、借りてはいけません。
以上、レディースローン・レディースキャッシングだからと言って―。
- 低金利になったり、審査が甘くなったりはしない
こういうことをまとめてきました。さらに詳しい内容は下の記事でも書いているので、ぜひ参考にしてみてください。
レディースローンなら家庭に入っている女性(自分の収入があることが条件)でもキャッシングしやすい?→金利も審査も普通
専業主婦がキャッシングの支払いに、遅れたらどうすればいい?
もし家庭に入っている女性(自分の安定収入があることが条件)のキャッシングで、返済に遅れてしまったら、あるいは遅れそうになったらどうすればいいのか―。これは、会社員・OL・公務員やパート・アルバイト・フリーターなどの「他の職業・属性の方々」とまったく同じです。
- できるだけ早く、業者・銀行に連絡する
- そうして「利息返済だけにまけてもらったり」
- あるいは数日返済日を先延ばしにしてもらう
などの対応が可能になります。特に利息だけ払うというのは、支払いできない時によくある方法なので、これは大抵の場合、どの消費者金融・銀行カードローンでもクレジットカード会社でもOKになります(絶対ではありませんが)。
そもそも「利息さえ払ってくれるなら、多少遅れても問題ない」というのが、すべての銀行カードローン・消費者金融やクレジットカード会社の本音なんですね。その方が利息収入も増えるからです。
また、そういう打算だけではなく―。
- ほとんどの利用者が、連絡なしで遅延・延滞を当たり前にする中で、そうやって事前連絡してくれるということは、それだけで嬉しいし、自分の仕事が尊重されている、と感じる
なので、このように遅延・延滞しそうな時というのは、まず連絡するというだけでも、全然印象が違うわけですね。
個人信用情報での記録も違う?
個人信用情報では、特にCIC(シーアイシー)の場合「毎月の返済状況」が記録されています。そして、遅延の中でも―。
- 利用者の事情で遅延
- 事情不明で遅延
こうした2種類があります(他にも「本人が悪くない事情で遅延」などもありますが、とりあえずこの2種類を抜粋します)。そして、一見「事情不明」の方が良さそうに見えますが、逆です。
- 「利用者の事情で」というのは、つまり「連絡があった」ということ
- 一方「事情不明で遅延」というのは、「遅れる理由について、連絡がなかった」
こういうことを意味します。どちらがいいかは、言うまでもないですよね。キャッシング業者や銀行カードローンの側としては、「多少悪い報告でもいいから、現状を正確に知りたいのです。これは会社の上司なども同じで、とにかく「現状は、率直に報告する」というのが基本なのです。
現状が正確に分かれば、いくらでも対処できる
消費者金融・銀行カードローンの側としては、現状報告を正確にしてくれれば、それでかなりのレベルまで、問題なく対処できるんですね。理由は下の通りです。
- そもそも資本力があるので、多少の延滞・滞納ではびくともしない
- また、事前連絡があれば、督促部門にその延滞・滞納の報告をするのもスムーズで、あらゆる無駄な手間が省ける
このようになるわけです。
- 万が一債務整理などに陥るような事態でも、そもそも一定数の貸し倒れは、消費者金融・銀行カードローンの側も最初から計算している
- それも含めての金利設定なので、特に問題ない
もちろん、「特に問題ない」というと言い過ぎですが、要はある程度の貸し倒れは仕方がないと思っていて、実際にカバーできるだけの金利も取っているというわけです。こう書くと「何で貸し倒れになった利用者の分まで、自分が払わないといけないんだ」と、怒る人もいるかもしれません。しかし、サービスというのはそういうものです。
それが嫌なら―。
- キャッシングを最初から利用しない
- 税金を払うのが嫌なら、お金を稼がない
このようにすればいいんですね。実際、ホームレスの方々は、稼ぎがないので一切税金を払わず、税金によって作られた公衆トイレなどをひたすら利用する立場です。しかし、じゃあホームレスになりたいかと言ったら、誰もなりたくないでしょう。
つまり貸し倒れになった人は、別にうれしい立場じゃないし、そもそも経済というのは、キャッシングでも何でもそういう「支え合い」で成り立っている…ということです。なので、それが嫌なら経済活動から外れればいいんですね。もっとも、それで幸せかどうかはわかりませんが…。
とにかく、こうした理由から、キャッシングのシステムというのは「万が一貸し倒れになってもいいくらい」に整備されているので、堂々と(というのも変ですが)遅延・延滞してしまう旨を、連絡した方がいいのです。連絡さえあれば、消費者金融・銀行カードローンの側はいくらでも対応できますから。
遅延・延滞の連絡では、何と言えばいいのか
これは普通に「申し訳ありません。今月、入金が遅れてしまいそうなのですが…」というように言い出せばOKです。後はあちらがいろいろ質問してくれたり、対応してくれたりします。そして、そこで話す内容としては、下の通りです。
- 何でお金が足りなくなったのか
- いつだったら払えるのか
こうしたことです。「何でお金がなくなったか」というのは、聞かれないこともあります。確実に聞かれるのは「いつなら返済できるか」ということです(当たり前と言えば当たり前ですが)
第二の返済日は、確実に返済できる日を伝える
こうして「新たな返済日」を設定するわけですが、ここで何よりも重要なことは「確実に返済できる日を伝える」ということ。多くの人は、待ち合わせに遅刻する時と同様に下のように言えます。
- 遅い日付を言うのが怖いので、ついつい「三日後には大丈夫です」などと、嘘で早めの日を言ってしまう
こういう傾向があります。あるいは、ギリギリその日なら返済できるという日を伝えることが多いです。しかし、下のようにも言えます。
- ギリギリで返済可能な日だと、何があるかわからない
- 大体、普通の返済日に遅延・延滞するような人は、ギリギリの日を設定すると、大体問題が起きる
こういうことで、ギリギリの返済日を設定すると、間に合わないのですね。そして、二連続で延滞・滞納…ということになってしまい、さらにそのクレジットカード会社や消費者金融・銀行カードローンから睨まれる…という状態になってしまう…というわけです。
なので、こうして再返済日を設定する時は―。
- かなり余裕があって、多少のトラブルがあっても、問題なく返済できる
こういうくらいの日付で、設定する必要があるわけです。この点は延滞・滞納する自分の収入がある女性の方々が、特に犯しやすい失敗なので、くれぐれも注意して下さい。
(もちろん、家庭に入っている既婚女性の方々に限った話ではなく、会社員・OL・公務員など、どんな職業・属性の方々でも言えることですが…)
以上、自分の収入がある女性のキャッシングで返済に遅れそうになった時はどうすればいいのか―。ということをまとめてきました。最後に要点を整理すると、下のようになります。
- とにかく、返済できないことがわかった時点で、すぐ消費者金融・銀行カードローンの側に連絡する
- そうすれば、利息だけ返済すればOKなどの条件に切り替えてくれる
- あるいは「再支払い日を設定してくれる」
などの対応をしてくれます。
- どの消費者金融・銀行カードローンでも、事前連絡をしてくれる人に対しては、大体好意的である
こういうことで、あまり緊張する必要はありません。もちろん、「申し訳ない」という気持ちは必要ですが、そうして謝る気持ちを持って連絡すれば、特に自責の念にかられる必要はありません。
以下、自分の収入がある女性のキャッシングで返済に遅れそうな場合にどうすればいいのか、ということは、下の記事でも詳しくまとめています。よろしければ、ぜひ参考にしてみてください。
専業主婦がカードローン・キャッシングの支払いに遅れた場合は、どうすればいいのか
補足:今の法定金利は、消費者金融の経営にとってギリギリである
今の法定金利というのは、10万円~100万円までの貸付は「実質年率18%」で融資するというものです。この金利は、消費者金融の経営を続ける上で、ギリギリの数値なんですね。
多くの人はこの数字を見て「利益率が18%ある」と勘違いするでしょう。実際、専門家の書籍でも「これがまるまる、彼らの利益になる」などと、間違ったことを書いています。しかし、下のようにも言えます。
- これはあくまで「粗利」であって、実際にはここから、下のようなコストを引いていく
こういうわけです。どんなコストを差し引くかというと、下の通りです。
- 人件費
- 地代
- 通信費
- 福利厚生費
- 新聞図書費
- 雑費
こういったものですね。要するに企業経営をするなら、当たり前のようにかかる経費です。これがどのくらいの割合になるかは、もちろん、キャッシング業者・消費者金融によるでしょう。
とりあえず、一つの参考になるのは、『下流喰い』という、須田慎一郎氏が書いた書籍です。これはタイトルからも想像できるように消費者金融に対してかなり否定的な本なのですが、それでも、ある中小業者の経営者の言葉を、こう紹介しています。
(箇条書きします)
- 確かに金利は18%とっているけど、(上に書いたような)コストを引いていくと、我々の手元に残るお金は、2%~3%しかない
- これは企業として、生き残るために本当にギリギリのお金
これは事実で、企業はたとえば災害などの不慮の事態に備えようとすると、どうしてもこのくらいの利益は、最低限出さないといけません。このくらいの利益率だと「儲ける」というより、普通の人でいう「ようやく生活費が稼げるレベル」でしかないのです。
事実、貸金業法改正で中小業者はほとんど倒産した
キャッシングの知識がある人ならしているでしょうが、2006年~2010年にかけて貸金業法が改正され、この時期、多くの中小の消費者金融が倒産しました。
特に岩手県の中堅業者で「ユニワード」という有名な会社があったのですが、ここは改正貸金業法による過払い請求によって、多大な損害を受けたとして国を訴える裁判を起こしています。どういうことかというと、下の通りです。
- ユニワードも含め、すべての消費者金融は、「出資法」に則った「合法の金利」で運営してきた
- しかし、後から最高裁の判決で、「出資法の金利は無効」となった
こういうだけならいいのですが、下のように言えます。
- その判決は、「過去まで遡って」、出資法の金利でとった利息を、利用者に返還しなければいけない
- ↑(過払い金の返還)
こういうものだった―、ということです。そして、これで空前の過払い金の返還ブームが起きたのは、知っている人も多いでしょう。この何がおかしいかというと、たとえば「自動車」などの商品で例えてみるとわかります。
自動車の販売で例えると?
これがもし自動車の販売だったら、たとえば、例を出すと下の通りです。
- 現時点で、車の金額に「上限」はない
- しかし、ある日突然「200万円まで」という判決が出た
- そして「これまで200万円以上で車を売ってきた会社は、すべてその利益を返還しなければいけない」
このようになったとします。こうなったら、当然トヨタでもホンダでも、ほぼ倒産ですよね。倒産までは行かなくても、今のような力を維持することはできなくなるでしょう。
そもそも、この返還というのは、下のように言えるからです。
- その金額自体も大きいけど、それにかかる従業員の作業コストも莫大
たとえばトヨタ自動車で今までに200万円以上で売ってきた分を、すべて返還するといったら、どれだけ膨大な労力になるかわかりますよね。それとほぼ同様のことを、この時期(2006年~2010年)の消費者金融はやらされていたわけです。
繰り返しますが―。
- 金利引き下げ自体は、特に問題ない
- しかし「過払い金の返還」までさせるのは行き過ぎだった
これによって、中小の消費者金融はこの時期軒並み倒産してしまったし、大手でもアイフルが倒産寸前まで行き、アコムもやはり経営危機に瀕するなど、相当な事態になりました。
「いいじゃん、金貸しなんか苦しくなれば」という人は、人体でいうなら大腸なんて汚いから、どれだけ病んでもいいよと言っているのと同じです。確かに大腸のイメージはあまり綺麗ではありませんが、大腸が病んだらどうなるかは言うまでもないでしょう。
経済を支えているのは、金融である
もし経済がなかったら、一杯の焼きそばを作るにも、奇跡を起こす必要があるという有名な言葉がありますが、私達がこれだけ豊かな人生を送れるようになったのは、ひとえに経済のおかげなんですね。(経世済民ということです)
そして、その経済を支えているのは「金融」です。箇条書きすると下のようになります。
- 国は国債によって「膨大な借り入れ」をしている
- ほぼすべての企業が、やはり「銀行からの融資」を受けている
- ↑(無借金経営と言われている企業でも、大抵はある程度の融資を受けている)
- 街中の美容院やパン屋さんなども、ほとんどが「銀行の融資を受けて」作られたものである
そして、あなたが働いている会社も、同様に銀行から借金をして事業を続けているし、その取引先もまた同じように、借金のおかげでまわっているのです。
もし金融というシステムがなかったら、経済の「血流」は止まってしまうんですね。それだけ「金融」は経済にとってなくてはならないものなのです。そして、その金融には2通りあって、下のようになります。
- 消費者金融
- 事業者金融
の2通りに分かれるのです。で「消費者金融」というのは、下のように言えるからです。
- 住宅ローン
- 自動車ローン
- 教育ローン
- 分割払い
- クレジットカード
こういうのもすべて含むのですが、この「消費者金融」を叩いたら、金融の半分が止まってしまう(少なくとも3分の1程度は止まる)というのは理解できるでしょう。(そもそも、ビジネスというのは「買ってくれる消費者がいて」成り立つわけですから)
そして、その消費者金融を叩きまくったのが、改正貸金業法の頃の日本だったんですね。あの頃「偶然」リーマンショックが起きて「その後の不景気は、すべてリーマンショックのせい」となりましたが、本当は―。
- 貸金業法の改正
- 姉歯ショックによる不動産不況
などで日本経済が弱っていたところに「とどめ」として、リーマンショックによる世界同時不況が起きた…というのが実態なんですね(と、『貸せない金融』の小林幹男氏などは指摘されています)
以上、改正貸金業法のデメリットについても書きましたが、これについては下の記事でも詳しくまとめています。興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。