銀行と消費者金融の「学生ローン」の違いって何?
銀行と消費者金融の「学生ローン」の違い。これは簡単に書くと下の通りです。
- 銀行…「教育ローン」のこと
- 消費者金融…「学生専用キャッシング」のこと
そして、それぞれの内容を簡単に書くと下の通りです。
- 教育ローン…年率4%程度の低金利。奨学金と違い、申込み時気が自由
- 学生専用キャッシング…普通のキャッシングとほぼ同じ
以下、それぞれ詳しくまとめます。
銀行の教育ローンのメリット・デメリット
まず、銀行の教育ローンのメリット・デメリットをまとめると、下のようになります。
- メリット…低金利、いつでも申し込める
- デメリット…奨学金よりはやや高金利
奨学金と金利を比較すると、下のようになります。
- 奨学金…1~3%(実質年率)
- 教育ローン…3%~5%(実質年率)
このようになっています。(どちらも「実質年率」です)
奨学金も銀行の教育ローンも―。
- 固定金利
- 変動金利
…のどちらをとるかによって金利は多少変わるのですが、固定・変動のどちらをとっても大体共通する金利が上の数字だと思ってください。
銀行の教育ローンは、いつでも申し込める
冒頭に書いた通り、銀行の教育ローンは奨学金と違って、いつでも申し込めるというのがメリット。奨学金は「春・秋」しか申し込み時期がありませんが、銀行の教育ローンは年中いつ申し込んでもいいのです。
なので、特に大学の入学金をキャッシングする時に便利なんですね。入学金はまだ「大学に入る前」に払うものですから、奨学金のように入学が決定した後しか借りられないというタイプのお金ではダメなのです。
なので、学費については奨学金でまかなうという家庭でも、「入学金だけは銀行の教育ローンから借りる」というパターンは多いです。これも銀行の教育ローンの「奨学金にはないメリット」といるでしょう。
奨学金と比べると、少々金利が高い
比較する相手が悪いですが、やはり奨学金と比較すると、銀行の教育ローンはやや高金利となってます。金利は先程比較した通りですが、さらに奨学金の場合、成績優秀者の場合は、無利子で借りることもできるからです。(これは知っている人も多いいでしょう)
奨学金には一種と二種があり、一種の方は「無利息」で借りられるわけですね。その分申し込みの成績条件などが厳しいのですが、一定の水準に達している人であれば、数百万円という高額借り入れを「無利息」で出来るわけです。
有利子の場合、銀行の教育ローンとの金利差はそれほどないのですが、無利子になると、やはりかなりの金利差があります。なので、もし無利子の奨学金を借りられるくらいの成績であれば、できるだけこちらから借り入れ、銀行の教育ローンの借り入れは小さめに抑えた方がいいでしょう。
銀行の教育ローンは、固定金利・変動金利どっちがいい?
銀行の教育ローンを借りる時は、固定金利と変動金利のどちらを選ぶべきなのか―。ポイントをまとめると、下のようになります。
- 今後「日本全体の金利」が上がる場合…固定金利
- 逆に「金利が下がる」場合…変動金利
これがベストです。金利というのは基本的に、国全体で連動しているものであり―。
- 国債の金利が上がる…その他の金利もすべて上がる
- 国債の金利が下がる…その他の金利もすべて下がる
このようになっているんですね。なので、この国債の金利の先を読めるという人であれば、それに合わせて固定金利を選んだり、変動金利を選んだりすればいいわけです。
ただ、当然ですがほとんどの銀行の教育ローンの利用者にとって、そのような予測をするのは難しいでしょう。なのでとりあえず変動金利を選ぶと思っておけばいいです。理由は下の通りです。
- ほとんどのケースでは、変動金利の方が安く設定されている
- 今後、金利が上がるにしても、そこまで劇的に上がることはおそらくない
- 固定金利は「金利が相当上がっても、銀行が損しない金利」ということで、かなり高めに設定されている
- だから、固定金利の方が利用者は損することが多い
もちろん、これを読んでいる方が経済に精通していて今後、日本の政策金利は劇的に上がるという確信を持たれていたら話は別ですが…。
何にしても基本的に、変動金利を選んでおけばいいと考えてください。
消費者金融の「学生ローン」とは?
ここまでは銀行の「学生ローン」、つまり「教育ローン」について説明してきました。ここからは消費者金融の学生ローン、いわゆる「学生専用ローン」についてまとめていきます。
「学生専用ローンとは何か」を簡単にまとめると、下のようになります。
- 大学生・専門学校生などの学生のみに融資
- 大手ではなく中小の消費者金融が提供しているサービス
- 学生専用だが、金利や融資枠は大手の消費者金融と変わらない
- 審査については、中小業者だからむしろ厳しい
- 名門大学の学生の場合、大手の消費者金融より有利なことも
以下、詳しく補足します。
学生専用ローンでも、金利は大手と同じ
実は、学生専用ローンでも金利は大手の消費者金融と全く同じです。学生専用ということで、低金利になるかと思ったら、そうではないんですね。
この理由をまとめると、下のようになります。
- 今の利息制限法の上限金利「18%」は、キャッシング業者が利益を出すためにギリギリの金利
- これ以上金利を下げたら、経営が立ち行かない
- だから、大手でも中小業者でも、利息制限法の上限いっぱいの「18%」で設定している
つまり学生専用ローンの金利が高いわけではなく「利息制限法の上限金利が厳しすぎる」ということです。
この「利息制限法の締め付けが厳しい」というのは、多くの知識人の方々が主張されており、一度改正された利息制限法・出資法を、もう一度改正し直そうという動きも起こっています。
学生専用ローンは、学生が審査に通りやすい?
学生専用ローンだと、学生がキャッシング審査に通りやすい―、と思う人は多いでしょう。しかし、これはむしろ中小業者な分、大手の消費者金融よりも審査が厳しくなると考えてください。
中小業者だと審査が厳しくなる理由をまとめると、下のようになります。
- 1件あたりの貸し倒れのダメージが、大手の消費者金融と中小業者では全然違う
- 中小業者は、1件の貸し倒れも出してはいけない
- だから、とことん審査する
このような、学生専用ローン側の「リスク管理」の理由が1つです。
- 中小業者なので申し込みが少ない
- だから、一人あたりの審査時間を長くとれる
こういう理由があります。このように「しっかり審査できる」ということは、それはつまり審査が厳しくなるということとも、同義なのです。
もちろん、中には中小業者で、大手の消費者金融よりも審査が緩いというところもあります。しかし、資本力が大手の消費者金融より少ないのに、審査が甘くして貸し倒れのリスクを高めているのはなぜか―。ということは考える必要があります。
ただ単に「売上を伸ばさなければいけなくて焦っている」ということもあるでしょうが、最悪の場合、裏でヤミ金とつるんでいて、紹介屋の役割を果たしているという可能性もあるのです。
ということで、学生専用ローンだからといって学生が審査に通りやすくなる、ということはないですし、仮にそういう業者があったらそれはそれで危ないので、注意してください。
学生専用ローンの融資枠を大手と比較すると?
次に学生専用ローンの借入枠を大手の消費者金融と比較するとどうなるか―。これは、下の通りです。
- 大体30万円~50万円
- これは「最大」の場合で、最初はもっと少額から始まる
- 最初の借り入れは、10万円以下が多い
- これは大手の消費者金融と同じ基準
このように基本的には大手の消費者金融の融資枠と同じなのですが、違いもあります。違っている部分は―。
- 大手の消費者金融なら「最低でも10万円の限度額」からだが、学生専用ローンの場合「3万円・5万円」など、「必要な金額だけ」を、限度額にしてもらえることもある
どういうことかというと、下の通りです。
- 大手の消費者金融でも「実際に借りる金額」は自由
- しかし「最大で借りられる融資枠」は10万円が与えられる
- その範囲内で、いくら借りてもOK
- しかし「借入枠が10万円まで」あるので、つい借りてしまうことも
これが大手の場合です。そして、学生専用ローンの場合、下のようになります。
- 「3万円だけ借りたい」という場合―。
- 「融資枠」も「3万円」に設定してくれる
- だから、それ以上は借り入れできない
- 追加借入をしたくなったら、その都度申し込みする必要がある
この学生専用ローンのルールについて、もう少し解説しましょう。
「包括契約」でなく「個別契約」である
これは法的にいうと包括契約ではなく、個別契約を結んでいるということになります。それぞれの意味を説明すると下のようになります。
- 包括契約…一度「融資枠」を決め、その範囲内で借り入れ自由
- 個別契約…その時決まった金額を一括で融資。以後、追加借入はできない(ひたすら返済するだけ)
簡単に言うと個別契約の方が、普通の個人間の貸し借りに近いわけですね。普通の個人間のお金の貸し借りだと下のように言えます。
- 友達が「10万円貸してよ」と言ってきたら、「10万円を一気に」渡す
- 以後、友達は返済するだけ
このようなルールでしょう。これが「個別契約」です。そして、もしこの友達と「包括契約」を結ぶとすると下のようになります。
- 友達が「10万円貸してよ」と言ってくる
- そして、「10万円の『枠』だけ欲しいんだけどさ。今必要なのは3万円だから、とりあえず3万円借りるわ」
- 「また、残り7万円は、借りたくなった時に借りるから」
このようになるわけですね。日常の貸し借りだったら「かなり変」と感じるでしょうが、カードローンで一般的にやられている包括契約というのは、こういう仕組みです。
もちろん、これはカードローンや消費者金融の仕組みが変というわけではなく、あくまで「日常の貸し借りだと、少々違和感がある」ということ。消費者金融などの「サービスとしてのキャッシング」の場合、むしろ個別契約の方が違和感がある(わかりにくい)ということに、やってみると気づきます。
(何しろ、追加借入をしたくなるたびに、契約手続きをしないといけない…ということですからね)
以上「個別契約・包括契約」の解説になりましたが、これが「学生専用ローンの契約の仕組み」です。一部違うところもありますが、基本的にはこういう業者が多いと思ってください。
まとめ「消費者金融と銀行の学生ローン」
以上、消費者金融と銀行の学生ローン、それぞれの特徴や違いについてまとめていきました。最後にもう一度ポイントをまとめると、下のようになります。
- 消費者金融の学生ローンは「学生専用ローン」である
- 学生専用ローンは主に中小業者が提供している
- 銀行の学生ローンは「教育ローン」である
- 奨学金よりやや高金利だが、年率4%程度の低金利
- 奨学金と違い、申し込み時期が自由なのがメリット
- 大学の入学金など、奨学金の手続きが間に合わない時の支払いに便利
基本的に―。
- 銀行の教育ローン…親が借りる
- 学生専用ローン…本人が借りる
このようなことが多いでしょうが、これからお金が必要な学生さん、あるいは学生のお子さんを抱えている家庭の方は、ぜひ参考にしてみてください。