質屋でお金を借りる時の注意点まとめ ~流質期限は3ヶ月など~
質屋でお金を借りる時の注意点は、下の通りです。
- 「3ヶ月経ったら質流れ」で、アイテムを取り戻せない
- 質屋の金利は、キャッシングよりかなり高い
- 「偽装質屋」というヤミ金も混ざっている
以下、詳しく説明します。
「流質期限」は3ヶ月まで
質屋では、3ヶ月までしか借りられない
質屋には「流質期限」(りゅうしちきげん)というルールがあります。これは質屋営業法で3ヶ月までと決まっています。なので、下のようになります。
- 「3ヶ月」で返済できなければ、そのアイテムは「質屋のもの」になる
- 代わりに、もう利息は払わなくてよくなる
- ↑(その借金は「終わったこと」になる
アイテムが質流れになるのはショックですが、代わりに「もう返済しなくていい」というメリットがあります。
質屋がキャッシングよりも遥かに高い金利をとるのが許されているのは、この「流質期限」があるからなんですね。どれだけ高い金利をとっても、3ヶ月までなので、借り手が破産はしないということです。実際、自己破産に陥る確率は、消費者金融や銀行カードローンなどの普通の借り入れに比べて、かなり低くなっています。
流質期限が来ても、まだ返済を要求される場合
まれに、流質期限が来てもまだ返済を要求する…という質屋もいます。これは偽装質屋と呼ばれる、違法業者なので注意してください(というより、返済しないでください)。
偽装質屋は基本的に「ほとんど価値の無い商品を預かる」ということで、最初から「偽装質屋」とわかりやすいもの。しかし、その手口がNHKスペシャルなどでも報道されたことで、最近はさらに巧妙化しています。
つまり「普通の質屋」のようにしっかりアイテムを鑑定して、安心させた上でお金を貸し付ける。しかし、そこからは、金利も取り立てもヤミ金そのものということです。
もし「まともな質屋」に見えたのに「流質期限が過ぎても、まだ督促が来た」という場合は、確実に偽装質屋なので、一切返済しないでください(そして、警察などに相談しましょう)。
3ヶ月の流質期限は、江戸時代から定着していた
余談ですが、この「3ヶ月」というの流質期限は、江戸時代から定着していたようです。これは、遠山の金さんこと「遠山左衛門尉景元」が、天保の改革を批判して、幕府に送った意見書の中にも書かれています。
(質屋は普通の金貸しよりも金利は高いが、3ヶ月で質流れとなる…などの現状を紹介しています)
3ヶ月という流質期限がそのまま現代まで受け継がれているのは、「きりが良い」ことと、3ヶ月返済できなかった人は、その後も完済できない可能性が高いというのが、長年の質屋の経験から、わかっているからでしょう。
普通のキャッシングのような数十万円という貸付だったら、3ヶ月で返済できないことの方が多いです。しかし、質屋の場合多くは「数万円」という少額の借り入れですから、それを3ヶ月返済できないということは、やはり「流した方がいい」となります(本人のためにも)。
というのが「流質期限=3ヶ月」で定着した理由でしょう。(あくまで推測ですが)
質屋の金利は、キャッシングより断然高い
質屋の上限金利は「109.8%」
今、キャッシングの上限金利は「20%」です。これに対して、質屋の上限金利は「109.8%」。並べて比較すると、下のようになります。
- キャッシング…20%(実質年率)
- 質屋…109.8%(実質年率)
質屋の法定金利は、キャッシングの5倍以上ということですね。
実際には、ここまで高い金利で融資している質屋は少ないです。金利は質屋によって、品物・その人の信用度によって千差万別ですが平均して、70%~80%程度で融資していると言われます。
なぜ、質屋の法定金利は高いのか?
なぜ、質屋だけこれほど高い法定金利が許されているのか。この理由は下の通りです。
- 質屋は、アイテムを保管するコストがかかる
- 流質期限があるので、高金利でも破産者が出ない
この「保管」というのが大事なところで、たとえば室町時代の金貸しは「土倉」という名前でした。これは現代でいう質屋と同じで、質草を保管する倉庫を持っていたからです。
当時は「質屋の形で借りる」のが当たり前だったので金貸しになるには、倉庫が必要だったのです。なので「土倉」という名前になったんですね。
そして、当然ですが「倉庫」の維持にはお金がかかります。さらにブランド品などの繊細なアイテムだと「メンテナンス」にも手間がかかります。これらのコストを考えると、109.8%という高い法定金利も、暴利ではないわけです。
弁護士会は、質屋の金利も違法と主張
弁護士会の一部の人々は、質屋の法定金利も引き下げようという主張をしています。2010年に「出資法の金利が、29.2%から20%」に引下げられたように、質屋の法定金利も下げようとしているわけですね。
彼らは「善意でやっている」人も確かにいるでしょう。しかし、キャッシング業界の人間からすれば、彼らは過払い金ブームの時のような、利益を狙っているとしか思えません。2006年~2010年の過払い金ブームで、大々的に広告を仕掛けた弁護士・司法書士の事務所は、空前の利益を手にしました。
何しろ弁護士が一人しかいない事務所で、年間数千万円の広告費を使っていたというのです。それだけ大量の依頼が来て、弁護士が一件ずつ面談できるわけがありません。
本当は面談しなければいけないし「弁護士などの資格が無い人間に、作業をさせてはいけない」のですが、実際には「何の資格もないアルバイトにやらせていた」んですね。
それが発覚し、懲戒処分を受けた弁護士事務所もありますが、多くは法律のプロだけあって、うまく逃れています。「弁護士は、法律を使ったヤクザだ」というのは、ある消費者金融の社員さんの言葉で、『サラ金全滅』などの書籍でも指摘されていますが、「一部の弁護士」については、まったくその通りだと思います。
(宇都宮健児氏のように、正しい活動をされている弁護士の方も、たくさんおられるのですが)
とにかく、弁護士会の一部が主張する質屋の法定金利引下げについては、そういう思惑がある…という可能性も、意識すべきでしょう。
まとめ「質屋でお金を借りる時の注意点」
以上、質屋でお金を借りる場合の注意点についてまとめました。再度整理すると、下のようになります。
- 3ヶ月で返済しなければいけない
- 金利は、キャッシングよりかなり高い
- 3ヶ月で「質流れ」になったら、もう返済は必要ない
- 質流れになっても督促されたら、違法業者である
- 偽装質屋という悪徳業者もあるので注意
消費者金融などのキャッシングとならんで、お金を借りる方法の1つとして参考にしてみてください。