キャッシングの返済方式によって、利息総額が変わる?→元利・元金の意味、違い
キャッシングの返済方式によって、利息の総額が変わる―。これはキャッシングの世界では常識です。ポイントをまとめると、下のようになります。
- 「元利」方式だと、返済が「遅く」なり、利息が「増える」
- 「元金」方式だと、返済が「早く」なり、利息が「減る」
以下、詳しくまとめます。
返済方式の「元利」と「元金」とは?
先に「利息から払う」のが「元利」
「元利」というのは「先に利息を払う」という意味です。たとえば、例を出すと下の通りです。
- 毎月「1万円」を払う場合…
- その1万円から「利息分」を先に引く
- 「残った分だけ」を、元金の返済に当てる
それぞれの金額を例として書くと下の通りです。
- 月々の支払い…1万円
- 初月の利息…2000円
こういう条件だった場合、下のようになります。
- 先に「利息の2000円」を払う
- 残りの「8000円」を元金に当てる
これだけだと、普通に思えるでしょう。これで返済が遅くなる理由は「元金」方式と比較するとわかります。
先に「元金を払う」のが「元金」
で「元金」方式の場合、上のケースではどうなるか。
- まず「元金」を1万円減らす
- その上で「2000円」の利息も払う
- つまり、この人の支払いは「1万2000円」になる
つまり「元金」方式の場合「月々の支払い金額」の分は、必ず元金が減るわけです。それに追加して利息も払うので、自然と「支払いが多く」なります。
最初のうち、返済の負担が大きいですが―。
- その分、早く返済できる
- 利子総額が小さくて済む
これらしかし、まだ下のような疑問が湧くでしょう。
「元利」で、毎月たくさん払えばいいのでは?
そもそも、上の比較は「元利か、元金か」の問題ではなく「月々の支払額が、多いか少ないか」ではないか?という疑問が湧く人もいるでしょう。実はまったくその通りです。
要は「毎月、できるだけ多く返済する」と決めている人にとってはどっちの返済方式だろうと、関係ないわけですね。では、どういう人が「元利」によって、返済が遅くなってしまうのか―。
これは「毎月1万円の支払い」と聞いて「そこから利息が引かれるのを、計算しない人」です。
- 毎月1万円を払っていただき、そこから利息を引きます
- 毎月1万円を払っていただき、それを全部元本に当てます
と言われて、区別がつかない人たちですね。実は、日本人の大部分がこの区別がつかないのですが。
後者は「全部元本に当てます」と言っているので「利息は別に払う必要がある」わけです。「無利息」で借りているわけではないですからね。
ということで、こうした「計算ができる人」であれば、「返済方式によって利子総額が変わる」ということはありません。しかし、実際には、ほとんどの利用者はこの計算をしないので、元利方式だと、どうしても利息総額が多くなってしまう…ということです。
(要は「方式」の問題ではなく「利用者の意識」の問題なんですね)
「定率」「定額」は、どっちの返済方式がいい?
返済方式の「定率」「定額」の意味は?
同じ「元金」返済方式でも―。
- 元金定率
- 元金定額
このように「定率」と「定額」に分かれます。それぞれの意味を説明すると下のようになります。
- 定額…毎月決まった「金額」を払う
- 定率…毎月決まった「パーセント」を払う
たとえば、例を出すと下の通りです。
- 定額…毎月「3万円」払う
- 定率…毎月「30%」払う
このような決め方ですね。このルールで「借入残高が1億円」のケースを想像してみましょう。
借入残高が「1億円」だったらどうなるか?
借入残高が1億円だと、それぞれの月々の返済額は下のようになります。
- 定額…予定通り「3万円」
- 定率…30%なので「3000万円」
定率の方は、明らかに無理というのがわかるでしょう。
また、「定額」の方も問題があります。残高が一億円もあるのに、3万円の返済では、まったく完済できないからです。
というように、「定額」も「定率」も、残高に合わせて金額やパーセントを変化させないと、不自然になるわけですね。ということで「残高スライド」という方式が、さらに追加されます。
「残高スライド」で、合理的な返済金額になる
「残高スライド」方式が追加されると、たとえば「元金」方式の場合、下のようなバリエーションになります。
- 元金定額
- 元金定率
- 残高スライド元金定額
- 残高スライド元金定率
それぞれの違いを書くと下の通りです。
- 元金定額…残高がいくらでも「毎月○万円」と、頑固に返済する
- 元金定率…同じく「毎月○○%」と、頑固に返済する
- 残高スライド元金定額…残高に合わせて「毎月○万円」と、固定の金額を払う
- 残高スライド元金定率…残高に合わせて「毎月○○%」と、計算して払う
借入残高が「多い時」「少ない時」で、それぞれどうなるかというと下のようになります。
■ 借入残高が「多い時」
- 残高スライド元金定額…月々の返済額が「大きく」なる
- 残高スライド元金定率…月々のパーセントが「小さく」なる
■ 借入残高が「少ない時」
- 残高スライド元金定額…月々の返済額が「小さく」なる
- 残高スライド元金定率…月々のパーセントが「大きく」なる
それぞれ「逆になっている」のがわかりますね。
ちなみに、「定率」の場合、最後までこのままだと、完済ができません。「残りが100円」であっても「その○○%」というように、永遠に小銭を支払うわけですからね。
ということで、「定率」の場合も、終盤では定額に切り替わり、完済します。このように「最後に変わる」というのも、「定額」との違いと言えるでしょう。
まとめ「早期返済するなら、方式は関係ない」
先にも書いた通り、結局は返済方式の問題ではなく、本人の意識の問題なのです。
- 早期返済すれば、どの方式でも関係ない
- 返済方式の仕組みを知っていれば、どのやり方でも「騙される」ことはない
ただ、これも先にも書いた通りほとんどの日本人は、このどちらでもないので、今日も「元利方式」によって、返済期間が長くなり、それで利子総額が増えている…というわけです。
(これを読んでくださっている方は、そうならないように常に早期完済を意識してください)