20才未満の学生がお金が借りれない理由 ~消費者金融・銀行の場合~
20才未満の学生がお金を借りられない理由―。これはポイントをまとめると、下のようになります。
- 一応、クレジットカードなら借りられる
- ショッピング枠なら最大30万円~50万円OKだし、キャッシング枠も最大5万円~10万円まではOK
- あくまで消費者金融・銀行カードローンはダメ、というだけ
ではなぜ銀行カードローン・消費者金融では融資していないのかというと下のようになります。
- 未成年の場合、法律によって「親権者の同意書」が必要
- これを審査条件にすると、審査が複雑になる
- 平気の審査時間が長くなるし、コストもかかる
- コストがかかった分は、金利を上げる必要がある
- このように、時間面でも金利面でも、利用者の不利益になる
以下、詳しくまとめます。
消費者金融・銀行カードローンでも法律上は借入可能
実は、上に書いた通り法的には、消費者金融・銀行カードローンでも未成年の若年層に融資することはできるのです。やらない理由は、「利用者全体の利益」のためなんですね。「金利面・時間面」については、先に書いた通りです。
そして、さらに「コスト」についてもっと書くと、ぶっちゃけたくさんの未成年の学生が、申し込んでくれるなら、融資してもいいと考えているのです(大手の消費者金融・銀行カードローンも)。
しかし、実際には「親権者の同意書を提出すればOK」というルールにしたとしても、未成年の学生が申し込んでくることはないわけですね。全然ないわけではありませんが、ほとんどありません。理由は下の通りです。
- 親権者の同意をもらうには、当然親に相談する必要がある
- つまり、必ず親にキャッシングがバレる
だから、「親権者の同意があればOK」という条件で融資しても、未成年の学生が申し込んでくることはほとんどないわけです。
審査システムを整備しても、割にあわない
当然ですが、何かを「受け付ける」ということは、そのシステムを整備する必要があるということ。たとえば「未成年者に対して融資する」という場合、下のようになります。
- 職員へのマニュアルに「未成年・10代の審査」の項目を作る必要がある
- 「親権者の同意書のチェック」の仕方なども指導する必要がある
- ネット申込みなどの自動審査のシステムも、18才・19才の審査は別のプログラムを組む必要がある
個人が何かを受け付けるのと比較して大企業の場合、何かを「受け付ける」と決めた時点で、相当なコストを投じて、受け入れ体制を整える必要があるわけですね。なので「それに見合った売上・利益」が必要なのです。
そして、消費者金融・銀行カードローンにとっての売上や利益というのは、要するに「申し込み」のことです。こうしてコストを投じてシステムを整えたら、それによって未成年の学生がたくさん申し込んでくれなければ意味が無いわけですね。
でも、実際には親バレが嫌だから申し込まないという学生がほとんどなのです。なので大手の消費者金融・銀行カードローンは未成年・10代・20才未満の学生には、融資しないということなのです。
クレジットカード会社は、なぜ未成年にも融資するのか?
上の内容を読んでクレジットカード会社だって、それは同じでは?という疑問を感じる人もいるでしょう。その疑問はもっともです。
上の内容の最後で「申し込みがたくさんあればいい」と書きましたが、クレジットカードの場合はこの条件を満たせるわけですね。理由は下の通りです。
- クレジットカードだったら、親も許可してくれる
- だから、未成年の若年層も「親権者の同意」をもらいやすい
- なので、未成年の学生の申し込みも自然と多くなる
- 申し込みが多ければ、システムに投じたコストは回収できる
要は、ボトルネックになっていたのは消費者金融などは、親権者の同意がもらえないということだったのです。「親権者の同意がもらいやすい借り入れ」であれば、未成年の若年層でもどんどん申し込んでくれるし、そうして申し込みが多くなれば、コストを投じる価値がある…ということなんですね。
なので、クレジットカード会社は―。
- 18才・19才の若年層でもOK
- ショッピング枠なら30万円か50万円までの限度額
- 融資枠は小さいが、キャッシング枠もつく
こういう条件になっているのです。これが未成年の若年層でも、クレジットカードなら借り入れできるという理由です。
クレジット会社は「若い利用者」を確保したい
もう一つ、消費者金融・銀行カードローンとクレジット会社の大きな違いとして「一生涯使うか」という点があります。
- 消費者金融・銀行カードローン…一時しのぎ
- クレジットカード…一生使う
もちろん、すべての日本人がクレジットカードを一生使うとは限らないわけですが、大体の場合は使います。これまでの日本でもそうでしたが、これから先は特にそうでしょう。
というのはネットショッピングの普及によって、クレジットカードがある方が断然便利になったからです。Amazonを利用している人なら、クレジットカードを使ってネットショッピングをすることの便利さを痛感しているでしょう。
たまにクレジットカードを紛失して、再発行を待っている間、Amazonが使えなかったりすると非常にストレスを感じるくらいです(笑)。このように、今後はますますすべての日本人が、クレジットカードを一生涯使う時代になっていくわけですね。
だから、クレジットカード会社としては18才・19才などの若い学生を、早めに確保しておきたいということ。もちろん、20才以上でも十分若いのですが「さらに若いうち」から確保することによって「絶対的な顧客」にしたいわけですね。
(人間は、慣性の法則によって、慣れ親しんだサービスはずっと使い続ける傾向がありますから)
若者向けの加盟店に利益をもたらす
もう1つ、クレジットカード会社の狙いとして若年層向けの加盟店の売上を伸ばすということがあります。言うまでもなくクレジットカードには「ショッピング機能」があるので、18才・19才などの若者がクレジットカードを持てば、自然と、若者向けの加盟店の利益が伸びるということなのです。
具体例はいくらでもありますが、ファッションの通販でいえば「夢展望」などがあります。夢展望の顧客は18才・19才の女性もかなり多いですが、この年齢層がクレジットカードを使えるかどうかで、売上が大きく変わってくるわけですね。
夢展望はあくまで一例で、他にもこのような商店・ショッピングサイトが山のようにあります。そうした加盟店に利益をもたらすためにも、クレジットカード会社は「18才・19才の若年層でも利用できる」ように門戸を開いている…ということです。
こう書くと、未成年の学生が、クレジット会社や加盟店の利益のために利用されていると勘違いする人がいるかも知れませんが、そんなことはまったくありません。これは経済全体に関する日本人のよくある勘違いですが、これについて説明します。
経済的なつながりは、人間の「絆」である
マネーの世界で有名な言葉の1つに「もし経済がなかったら、焼きそば一杯を作るにも、奇跡を起こさなければならない」というものがあります。この意味は「焼きそばを作るのに必要なもの」と、それを調達する方法を考えるとわかります。
- まず「麺」は「小麦」からできている
- ということは「小麦の栽培」から始めなくてはいけない
…もうこの時点でアウトでしょう。さらに言うと、その小麦の栽培を始めるにしても―。
- 「種籾」をどこで手に入れるか
- 「農具」をどうするか
- 「肥料」はどうするか
このように考えていくと「社会・経済のつながりがなければ、何もできない」ということを痛感するはずです。ちなみに、貸金業の始まりは、日本でも外国でももともと「種籾の貸付」です。
つまり、貸金業も経済自体も、もともと「一杯の焼きそばを作るという奇跡」のために、生まれ、自然に育っていったものなんですね。
クレジット会社や加盟店の利益があるから、若年層も生活できる
先の「クレジットカード会社や加盟店の利益」の話に戻ると―。
- 彼らがこうして利益を出している
- 利益があるから、従業員の給料を払える
- 給料をもらえるから、従業員が集まってくる
- それで、サービスが機能する
これが、ベースとなり―。
- サービスが機能するから、便利に買い物できる
- 「一杯の焼きそば」よりはるかに上の奇跡を、毎日何も考えずに利用することができる
すべては加盟店やクレジット会社に利益があり、その利益を求めて人が集まるから動くものなんですね。
なので、金融とか経済のつながりというのは実感はしにくくても、確かに人と人のつながりなのです。決して無味乾燥の、冷たいシステムではないんですね。
もちろん、資本主義にはいろいろ問題点もあるのですが、人間のやることで、問題点のない行動など、ほとんどないのです。何らかのデメリットは必ずあって、メリットとの掛け合いで、日々改善していく…というものなんですね。
ということで、決してクレジットカード会社も加盟店も「未成年の学生を利用しようとしている」わけではありません。その点はよく理解してください。
(この理解は、クレジットカードでキャッシングする場合だけでなく、「お金とは何か」「仕事とは何か」を考える上でも、役立つはずです。
まとめ「20才未満・未成年の学生がお金を借りれない理由」
以上、20才未満の学生がキャッシングをできない(正確にはクレジットカードならできる)理由をまとめてきました。最後に再度要点を整理すると、下のようになります。
- クレジットカードのショッピング枠なら最大50万円までOK
- キャッシング枠でも5万円~10万円までOK
- 大手の銀行カードローン・消費者金融は未成年には融資しない
- それは、審査システムを整備しても、申し込みが少なくて採算がとれない、というのが理由
- クレジット会社が融資するのは「採算が取れる」から
- 採算が取れるだけの申し込みがあるのは、「クレジットカード」ということで、親権者の同意がもらいやすいため
- 要は「消費者金融などは、親権者の同意をもらいにくい」というのが最大の原因
このような理由で、未成年の学生がキャッシングする方法はクレジットカードのみとなっていますが、これからお金を借りようとする学生など、参考にしていただけたらと思います。