カードローンの返済で遅延・延滞をすると、履歴が残るのか
カードローンの返済で遅延・延滞をすると、履歴は残るのか。これは、最初にポイントをまとめると、下のようになります。
- そのカードローン会社での履歴は、確実に残る
- たとえ1日であっても残る
こういうのがいわゆる「内部ブラック・社内ブラック」の情報です。
- 個人信用情報に残る「ブラックリスト」は、もっと長い
- 61日~3ヶ月、と一般的に言われる(CICはそう公言している)
- しかし、最終的にはカードローン会社が個人信用情報機関に報告するかどうかの問題
- もっと短い日数で報告され、履歴が残ることもある
- 逆に、もっと長い日数でも報告されないこともある
つまり、簡単にまとめると下のようになります。
- 内部情報…1日の遅延・延滞でも、記録される
- 個人信用情報機関…61日~3ヶ月が目安
以下、カードローンの返済で延滞・滞納をしてしまった場合の履歴の残り方などについて、詳しくまとめていきます。
内部ブラックだけは、1日でも絶対に残る
まず上に書いた通り、内部ブラックの情報については、たとえ1日だけの延滞・滞納でも、ほぼ確実に記録される…と思って下さい。というのは、社内ブラックの情報は、完全に機械的に処理されているからです。つまり、予定の引落日に口座残高が足りなかったら、その時点で「山田太郎さん、引き落とし失敗」というように、データベースに自動的に記録される…ということですね。
特に大手のカードローン会社であれば、利用者も多いので、一人ひとりの記録を手作業でする…などということは絶対にできません。なので、1日でも延滞・滞納をした時点で、このように機械的にデータが記録されるのです。
事前連絡があるだけで、ブラックリストを回避できる?
これはカードローン会社のルールによっても違いますし、その人の借入金額や、利用期間の長さ、これまでのクレジットヒストリーなど、諸条件によって変わります。しかしカードローン会社によっては、延滞・滞納する時に事前連絡をするだけでも、ブラックリスト入りを回避できるという可能性があります。
というのは、「事前連絡すると、利息の返済だけでOKとなることがある」ため。普通の返済や「利息+元本の一部」を返済します。だから金額が大きくなるわけですね。しかし、もしこの金額が払えないことがわかっていたら、事前連絡をすることで、カードローン会社の側が「利息だけお支払いいただくことも可能ですよ?」という提案をしてくれるわけですね。こちらからお願いしてもいいですし、単純に「払えません、すみません」と言った時、あちらから(カードローン会社から)提案してくることもあります。
(大抵の人はこの「利息だけ払う」という方法を知らないので、初めて事前連絡をする時は、カードローン会社の側から提案される…ということがほとんどです)
どちらにしても、この利息だけ返済するという方法であれば、遅延・延滞という記録は残らないということが多いんですね。もちろん、手続きの問題もあるので、事前連絡をいつまでにするか…というタイミングによっては、「利息だけ支払う」方法に切り替えたとしても、社内ブラック・内部ブラックに残ってしまう…という可能性はあります。
しかし、総合的に見ると「事前連絡のタイミングさえある程度早ければ、利息を払えば延滞・滞納の履歴は残らない」ということが多いと言えます。なので、もしキャッシングの返済で遅延・延滞をすることがもう確定している…という場合は、観念していさぎよく、電話などで事前連絡をするのがいいでしょう。
利息すら払えない…という場合でも連絡する
「利息すら払えない」というシチュエーションだったとしても、事前連絡は必ずするようにしましょう。というのは、同じ「延滞・滞納」でも―。
- 事前連絡あり
- 事前連絡なし
こういう両者のパターンで、遅延・延滞の記録のされ方が違うからです。カードローン会社によってルールは違うものの、大体下のようになっています。
- 事前連絡あり…「お客様の都合により、入金なし」
- 事前連絡なし…「理由不明で、入金なし」
このように記録されるわけですね。言葉遣いというか、記載内容については多少違いがあるでしょうが、このような「区別」があるというのは間違いありません。
一言すると「お客様の都合により…」の方が「手前勝手」というように感じて「悪い意味」と思う方もいるかも知れません。しかし、これは理由がわかっている、返済が遅れることがわかっている(わかっていた)という点で、カードローン会社にとっては、むしろ良いのです。
もちろん、本当は「延滞・滞納がまったくない」「予定通りに支払われる」というのがベストであることは間違いありません。しかし、同じように1日や数日延滞・滞納するのであれば、このように「理由・原因がわかっている」というのが、一番いいわけですね。
なので、「理由不明」よりも「お客様の都合により…」の方が、同じ社内ブラックでも、かなり好印象ということです。遅延・延滞する日数が同じだったとしても、こうして事前に誠意を持って説明をしておけば、それだけで「深刻なブラックリスト入り」を回避できる…というわけですね。
個人信用情報機関の延滞・滞納の履歴
ここまでは、いわゆる「社内ブラック・内部ブラック」について書いてきました。ここからは「個人信用情報機関」に延滞・滞納の履歴が残る「本格的なブラックリスト」について書いていきます。
どのように、個人信用情報機関に記録されるのか?
まず、延滞・滞納の記録が個人信用情報機関にどのようにレコードされるのかですが、これはそのカードローン会社・クレサラ業者などが報告して初めて履歴が残るという風になっています。中には遅延・延滞の報告を自動化している所もあるかも知れないので、報告という作業が「人間による手作業」とは限りません。
何にしても、何かしらの「報告」が、消費者金融・銀行カードローンなどの業者・銀行の側からあって初めて、個人信用情報機関に「長期延滞」の記録が残る…というわけですね。
どのくらいの期間で、履歴が残るのか
これも先に書いた通り「61日~3ヶ月」というのが基本になっています。これは個人信用情報機関の一つであるCIC(シーアイシー)の公式サイトに明記されていて、出典は下のようになっています。
- CIC(シーアイシー)「信用情報開示報告書」
- http://www.cic.co.jp/mydata/report/documents/kaijishosai.pdf
これは、CICで開示請求をした時に見せてもらえる資料の「見方」を説明したもの。その中の「返済状況」という項目で、下のように重度の遅延・延滞について基準が書かれています。
返済日より61日以上または3ヶ月以上の支払遅延(延滞)があるものまたはあったもの
つまり、現時点で遅延が進行中か、もう返済して終わったかは置いておき、「61日~3ヶ月の延滞・滞納の経験があったら、それでCIC(シーアイシー)では確実に履歴が残るということです。
「確実」と言っても、先に書いた通りカードローン会社・キャッシング業者が報告しなければ、記録されないこともあるので、絶対に履歴が残って、ブラックリスト入りするというわけではありません。しかし、これだけの長期の延滞・滞納になると、さすがにかなりの確率でブラックリスト入りすると考えていいでしょう。
(何にでも例外はあるけど、「めったにないから例外と呼ばれる」ということです。つまり、大体このくらいの日数の遅延だと、履歴が残るわけです)
もっと短い日数でもブラックリスト入りすることも
私の経験から言うと、61日…つまり「2ヶ月」よりももっと短い期間の滞納・遅延で、長期遅延として異動情報の履歴が残る…ということもあります。というより、長期延滞を通り越して、いきなり強制解約になるということもしばしばあります。
これは私が実際にあるカードローン会社で体験したことですが、返済がまるまる1ヶ月おくれたら、強制退会となりました。その時は返済予定の金額が数十万円レベルと大きかったのが最大の原因ですが、それまでにもだいぶ遅延・延滞をしていたので、そうした「クレジットヒストリーの悪さ」も原因だったと思います。
「何十万円も返済する予定だった」のは、「一気に借金地獄からおさらばしたい」と思っていたからですが、前月にそうやって設定した時には、翌月もっと稼げると期待していたわけですね。
しかし、思っていたように稼げず強制解約になった…というのが私の体験談です。何はともあれ、このように―。
- 返済予定の金額が大きかった
- これまでの利用実績があまり良くなかった
などの悪条件が重なると「1ヶ月などの短期間で、長期延滞どころか強制解約・退会の履歴が残ることもある」という点に注意してください。要は、キャッシングの利用履歴でブラックリスト入りの記録が残るかどうかtぽいうのは「ケースバイケース」ということですね。その人の総合的な状況・条件による…というわけです。
CICに自分の個人信用情報の開示請求をしてみた
先日、実際にCIC(シーアイシー)に、自分の個人信用情報の開示請求をしてみました。やり方は簡単で、下のようになります。
- 指定の電話番号に、自分の携帯電話からかける
- クレジットカードの「利用期限」を入力する
- 6桁の番号が、電話で告げられる
- それをCIC(シーアイシー)のサイトで入力する
- 個人信用情報を、PDFで見られる(保存可能)
クレジットカードを持っていない人であれば、利用している消費者金融などのキャッシングで申込み時に登録した電話番号の電話からかければOKです。それが固定電話だったら、固定電話から。携帯電話を登録したのであれば、携帯電話から…という風です。
(両方登録した場合は、多分どちらでも大丈夫です。私は携帯電話しか登録していなかったので、そのまま自分の携帯電話からかけただけですが)
そして、CIC(シーアイシー)の電話は、その番号からかかってくると「あ、この番号の人だから、この個人信用情報だな」という風に自動的に判断し、番号を発行してくれるわけです。
支払いはクレジットカードで出来るので、すぐ確認可能
CIC(シーアイシー)が他の個人信用情報機関より優れているのは、「その場ですぐ」に確認できること。
- 支払いはクレジットカードで出来るので、ネットの買い物と同じ
- パソコン・スマホだったらその場合で確認できる
このようになっています。かかる時間は大体5分~10分程度です。一度やった人なら、次は5分で行けるでしょう。
注意点としては、電話の音声が自動なのですが、言い終わる前に番号を押しても、反応しないという点です。つまり「開示請求をする方は1を…」と言われてすぐに1を押してもダメ、ということですね。全部言い終わってから初めて押す、ということです。
他のこういうサービスだと、「全部言い終わる前に押しても反応してくれる」というものがありますが、CIC(シーアイシー)の場合は個人信用情報という、デリケートな情報を扱うためか、慎重になっているという感じがあります。なので、少々まどろっこしいかも知れませんが、自動音声が全部終わるのを待ってから、ボタンを押すようにしてください。
CIC(シーアイシー)で自分のクレジットヒストリーをチェックする方法については、下の公式ページを参考にしてみてください。
- CIC「自分の個人信用情報を確認」
- http://www.cic.co.jp/mydata/index.html
遅延で強制利用停止になっても、ブラックリストではない?
自分の個人信用情報をチェックしてみてわかったのですが、遅延・延滞によってクレジットカードなどが強制利用停止になった時でも、ブラックリストには入っていないようです。私のケースを箇条書きすると、下のようになります。
- 1ヶ月遅延した
- カード会社からの予告通り、強制利用停止にされた
- その後2ヶ月で、完済した
- そのまま、そのカードの利用は終わった(強制解約になった)
そして、「強制解約・退会はブラックリスト」というのは常識なので、私もてっきりブラックリスト入りしていると思っていたのですが、ブラックリストの証拠である「異動」という文字は、どこにも書かれていなかったんですね。
強制解約にしても代位弁済や債務整理などにしても、ブラックリストというのは、個人信用情報の中に「異動」という文字が書かれているのです。それがなかったということは「ブラックリストではない」ということなんですね。
私の場合はたまたまだったのかも知れませんが、何にしても強制利用停止にされたからといって、必ずブラックリスト入りしているとは限らないということは、わかりました。あくまで「こういうケースもある」ということですが、参考になれば幸いです。
「A」マークは記録されていた
ただ、1ヶ月返済に遅延・延滞していた以上、遅延を示す「A」マークは当然ついていました。「A」マークは「お客様の事情で入金なし」というものです。
これも一応「軽度のブラックリスト」ではあるのですが、本物のブラックリストのように全ての借入審査に、5年~10年必ず落ちるというレベルではないので、これだったら特に問題ありません。本当は「A」マークもない方がいいですが、これが数年前についている…というくらいだったら、新しいクレジットカードを発行することもできなくはない、ということです。
私は仕事柄クレジットカードの情報もたまに調べさせていただくのですが、「このカードいいな」と思いつつも「でも、ブラックリスト入りしているから、ダメなんだよな」と思っていました。しかし、今回個人信用情報の開示請求をしてみて、予想外の事実が判明し(強制利用停止になっても、クレジットカードが作れるとわかり)、かなり嬉しく思っています。個人的な話ですが、今のクレジットカードは「リボ払い専用」のカードだし、還元率もあまり高くないので、別のクレジットカードに変えたいと、前々から思っていたのです)
クレジットヒストリーをさらに高める方法
私のように「A」マークがまだ残っている人は、それを補って余りあるだけの「クレヒス修行」をする必要があります。クレジットヒストリーを改善する…ということですね。
具体的にどうやるのかというと、下の通りです。
- 今のクレジットカードで、毎月より多く利用する
- 新しいクレジットカードを発行して、そちらも延滞・滞納なく返済する
などです。要は「カードの利用金額」「枚数」を増やすということですね。
どちらかというと「利用金額」を増やした方がいいでしょう。枚数についてはクレジットカードの保有枚数が一定以上だと、逆に審査落ちしやすくなるということもありますから。カード破産のリスクが高い人…と警戒されるわけですね。
それぞれのキャッシングやクレジットカードでの「月々の利用額」というのは「前月の分」が、個人信用情報でわかるようになっています。なので、特に新しいクレジットカードなどの審査に申し込みをする時には前月に、たくさん利用しておくというのがいいでしょう(今のクレジットカードで)。
そして、その返済を翌月きっちり終えた後で、審査申込みするようにする―。このやり方だと、新しく審査に申し込みしたクレジットカードやキャッシング業者が「おお、これだけ使って、きっちり返済してくれる人なのか」と、高い評価をしてくれます。
ただ、タイミングについては「返済してすぐ」ではダメです。これについて詳しく書きます。
10日引き落としだと、翌月1日に報告?
個人信用情報というのは、それぞれのクレジット会社や消費者金融などから「JICC・CICなどに報告があって初めて、記録される」という風になっています。
そして、私が自分の個人信用情報を見た結果、7月10日に引き落としされた30万円の記録が、8月1日に報告されていたという風になっていました。
つまり、7月10日やその数日後に「よし、しっかり30万円の引き落としに成功したから、新しいクレジットカードの審査に申し込むか」とやるのは、少々早すぎるかも知れない…ということですね。その時点では、そのクレジット会社(今のクレジット会社)が「まだ個人信用情報機関に報告していない」可能性があるからです。
報告されていなければ、あなたがクレジットスコアを高めるためにした「たくさん使って、きっちり返済」という努力も、「個人信用情報に反映されていない」ということになります。なので、これでは新しい借入審査で有利になることがない…というわけですね。
というわけで、クレジットヒストリーを改善するために「たくさん返済した」後は「次の返済日が来る直前」くらいで、新しい借入審査に申し込むようにしましょう。そのくらいのタイミングであれば、さすがに「まだ報告されていない」ということはないので、先月に「たくさん支払った分」が、個人信用情報に記録されている…ということです。
審査申込みのタイミングまで、追加借入を控える
もう一つのポイントとして、せっかくたくさん返済してクレジットスコアを上げたわけですから、新規の借入審査に申し込むまでは、追加借入をできるだけ控えるということも重要です。というのは、追加借入をした分も、個人信用情報に記録されるからです。
- 現時点の借入残高
- 今年、請求する予定の金額
これが、それぞれのクレジットカードやカードローンなど、借入先別に書かれているわけですね。なので、せっかくたくさん返済しても、追加でクレジットカードを利用して、この部分(借入残高)の数字が多くなったら、この人、よく使ってよく返してくれるみたいだけど、金銭感覚が危ないかもしれないなと思われます。あるいは「審査に通してもいいけど、この借入残高の分は、限度額からマイナスしておこう」と思われてしまいます。「現時点で借金がある」ということですから、それは当然ですね。たとえクレジットカードでも同じです。
というわけで、何が何でも新しいクレジットカードなどの審査に通過したいという方であれば、その審査の時までは「できるだけ現金生活をする」などして、キャッシングやクレジットカードの利用残高を残さないようにしましょう。そうすれば、新しい借入先での審査通過率は更に高くなります。
以上、カードローンやキャッシングの返済で遅延・延滞をすると、個人信用情報に履歴が残るのか―、というポイントについてまとめてきました。また、もしそのように「A」マークなどの滞納の履歴が残ってしまった場合、どうすればクレジットヒストリーを改善できるか…などのポイントについても書いてきました。
特に「強制利用停止になっても、ブラックリスト入りしないケースがある」というのは、私と同様に知らなかった方も多いと思うので、参考にしていただけたら幸いです。